日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.127

1.ITの戦略的活用がPXを高める
2.機械学習でPXとEXを高める
3. 今後の予定

1.ITの戦略的活用がPXを高める


米ミシガン州にある医療ITエグゼクティブのための専門組織、College of Healthcare Information Management Executives(CHIME)はこのほど、2020年の「Healthcare’s most Wired Surveys」(ネットワーク環境が整った病院調査)の結果を発表しました。

 

CHIMEの「Digital Health most Wired 」プログラムは、ヘルスケア組織が情報技術の最適化を図ることで、世界中のコミュニティの健康とケアを向上させることを使命に立ち上げています。医療ITに変革をもたらすことによる、患者の安全性とアウトカムの改善を目的としています。

2020年の同プログラムには、3万を超えるヘルスケア組織(病院)が参加。臨床およびビジネスプログラムに高度なITテクノロジーを、どの程度効果的に使用しているかを評価するため、年次調査を実施しています。

レベル1~10の10段階評価となっていて、レベル9~10の病院は高度なITテクノロジー(遠隔医療ソリューション、コスト分析ツール、ポイント・オブ・ケアでのデータへのアクセス、ケアプロセス全体を通じて患者とその家族がかかわれるツールなど)を実装するだけでなく、組織全体に浸透させているとしています。それによりPX向上、ケアの質の向上、コスト削減、患者の医療サービスへのアクセス拡大などの成果を生んでいるといいます。

最高ランクのレベル10を達成したのは、▽アベラヘルス(サウスダコタ州)、▽シダーズ・サイナイメディカルセンター(カリフォルニア州)、▽ガイジンガー・ヘルスシステム(ペンシルベニア州)、▽ジャクソン・ヘルスシステム(フロリダ州)、▽リーハイバレー・ヘルスネットワーク(ペンシルバニア州)、▽UCヘルス(コロラド州)、▽ピッツバーグ大学医療センター(ペンシルベニア州)――の7病院。レベル9を達成したのは64病院でした。

すべての急性期病院がランクインした、RWJBarnabas Health(ニュージャージー州)の最高情報責任者(CIO)のRobert irwinさんは、「臨床医がタイムリーなアラートを察知することで患者ニーズに迅速に対応できるように、臨床ワークフローを最適化しました。これにより、患者に安全で効果的かつ効率的なケアを提供し、アウトカムだけでなく、ケアの質とPX向上につながっています」と話しています。

 

「Healthcare’s most Wired Surveys」の詳細などは下記リンクから確認できます。

Link:https://chimecentral.org/chime-most-wired-2/#tab_ert_pane1-4

 

2.機械学習でPXとEXを高める


米メディアプラットフォームのBecker’s Hospital Reviewが10月15日に開催したウェビナーのテーマは、「Artificial intelligence(AI)と機械学習がPXおよびEX(Employee eXperience;従業員経験価値)を向上させる方法」。機械学習、臨床の専門家によって設立されたHEALTH[at]SCALEのチーフ・メディカルオフィサーのMohammed Saeedさん、同社最高技術責任者のJohn Guttagさんが講演しました。

 

AIと機械学習は、データによる洞察と自動化によりプロセスを改善するツールです。アメリカにおいても臨床の最前線での採用は、依然として遅いままだといいます。講演では機械学習がPXとEXを改善する5つの理由として、以下を挙げました。

 

1.万人向けでないアプローチを実現

「医療で機械学習を使うことはまだ始まったばかりです」とSaeedさん。慢性状態、遺伝学、場所、年齢に関するデータを考慮することでPXを大幅にパーソナライズおよび改善できる可能性があると指摘しました。

2.高リスク患者を予測

臨床、人口統計、社会データを使用して、リスクの高い可能性がある患者を特定。予防的ケアを必要とする患者を特定できます。

3.患者を適切な施設、専門家とマッチング

Saeedさんは、「機械学習モデルは、患者が自分のニーズに最適な医療提供者を見つけるのに役立ちます」と言及。患者がどの施設で受診すれば最良の結果をもたらすかを予測できるといいます。

4.異常検出により、迅速に介入できる

「遠隔監視装置などの機械学習ツールは患者の行動を追跡し、異常な活動にフラグを立てることができます」とGuttagさんは述べています。たとえば、リモート監視デバイスは患者が9時間動かなかったことを検出し、どこに異常があるかを識別します。

5.臨床現場を超えて改善に適用

病院は機械学習を使用して保険償還のコーディング(設計をもとにプログラムなどを作る作業)を行うことにより、支払い側は詐欺や浪費、乱用などを探すことができます。製薬業界は機械学習によって医薬品の設計のサポートを受けることができ、研究者は機械学習の技術を人口調査などに適用しています。

 

ウェビナーは下記リンクから視聴できます。

Link:https://www.youtube.com/watch?v=MvpLcgGpAfc&ab_channel=Becker%27sHospitalReview

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。「第4回PX寺子屋」は、日程など詳細が決まり次第、掲載します。

 

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12月5日(土)に「第3回PXフォーラム~PXとEXから考えるWell-being」を開催します。

招待講演では、米ニューヨーク市のマウントサイナイ病院で医師向けにPX向上のためのコミュニケーショントレーニングを担当していた、Caring Accent主宰でCertified Patient Experience Professionalの近本洋介さんがアメリカの病院事情やPXとEXの取り組みについて話します。

今年はZoom(Web会議ソフト)での開催となります。研究会員は無料です。フォーラムの概要および申し込みは下記リンクからできます。

Link:https://peatix.com/event/1622615

 

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今年も「PXアワード2020」を開催します。「こんな医療機関がもっとあったらいいのに!」とほかの人に勧めたい医療機関に投票してください。結果は、第3回PXフォーラムで発表。投票は下記リンクからぜひお願いします。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxaward/

 

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


日帰りで静岡まで遊びに行きました。静岡ローカルの有名なハンバーグ店。ある店舗に行ったところ、10:30に整理券をもらい、食べられたのはなんと16:00でした。(F)