1.英国のPXアワード
2.新型コロナウイルスとPX
3. 今後の予定
1.英国のPXアワード
英バーミンガムを拠点とする非営利組織のThe Patient Experience Network(PEN)では毎年、PXへのコミットメントが高い医療機関を表彰する「 Patient Experience National Network Awards(PENNA)」を企画しています。今年は「PENNA2019」が2020年9月14~18日まで、オンラインにて開催されます。
PENは、PXに“groundswell”(オンラインツールを使うことでつながった人々が情報、サポート、アイディア、商品、交渉力といった必要なものを相互に手に入れる潮流)をつくろうとする個人グループによって2015年に考案、発展した組織です。NHS(National Health Service;国民保健サービス)およびPXとEX(Employee Experience;従業員経験価値)を高めたい組織に貴重なリソース・サービスを提供しています。
PENではヘルスケア業界にあるPXの先進事例を見つけ、称賛して多くの人と共有することと、PXとEXの改善を加速することを目標としています。thought leadership(将来を先取りしたテーマやその解決策を提示し、人々の間に議論を引き起こすような活動)を通して目標を達成し、ベストプラクティスを共有する仕組みを提供。そのためのトレーニングやコンサルティングサービスの提供を、パートナーとともに目指しています。パートナーとしてNHSのほか、英国のPXサーベイを実施しているPicker Institute Europe、英国最大のヘルスケアイベントを手掛けるHealthcare Conferences UKなどがあります。また、民間医療機関やGP(General Practitioner)、歯科医、製薬メーカー、卸売業者、患者グループ、PX関連サービスのサプライヤーなどがメンバーシップに参加しています。
「PENNA2019」は9つのセッションと、次の19のカテゴリーに分けられ、実施されます。
・Engaging and Championing the Public(公衆の関心を引きつけ、擁護する)
・Integration and Continuity of Care(統合とケアの継続性)
・Environment of Care (ケアの環境)
・Support for Caregivers, Friends and Family(ケア提供者、友人や家族へのサポート)
・Strengthening the Foundation(財団組織を強くする)
・Partnership Working to Improve the Experience(エクスペリエンスを向上させるパートナーシップ)
・Communicating Effectively with Patients and Families (患者と家族たちと効果的なコミュニケーションを図る)
・ Team of the Year (チームオブザイヤー)
・Using Insight for Improvement (改善のために洞察力を使う)
・Innovative Use of Technology(技術の革新的使用)
・Measuring, Reporting and Acting (測定、報告と行動)
・CPES Award(CPESアワード)
・Turning it Around(方向転換)
・Personalisation of Care (ケアの個別化)
・Staff Engagement/Improving Staff Experience (スタッフのエンゲージメント、EXの向上)
・Patient Experience Advocate of Tomorrow (将来のPXの代弁者)
・Patient Experience Transformer of Tomorrow(将来のPXの変革者)
・Patient Experience Professional/Manager of the Year (PXの専門家/マネジャーオブザイヤー)
・Fiona Littledale Award(フィオナ・リトルデール賞)
15日午前開催の「エクスペリエンスを向上させるパートナーシップ」のセッションの1つでは、NHS財団トラストのウォリントン病院とハルトン教育病院が共同で取り組むShared Reading(読み聞かせ)を紹介します。認知症と脳卒中患者病棟で始められた取り組みは、患者の認知機能と身体機能の改善などのPX向上、スタッフのやりがいなどにつながったといいます。そのほかにも、さまざまな立場や視点からの取り組みが発表されます。
各セッションはMicrosoft Teamsを使って開催され、PENからの紹介の後、発表者がプレゼンテーションを行います。タイムスケジュールや発表者は下記リンクでご確認ください。参加申し込みはリンクの一番下にあるアドレスから可能です。
Link:http://patientexperiencenetwork.org/awards/
☆個人会員(PEN Friend)には無料で登録できます。PXのケーススタディやニュースレターへのアクセス、ネットワーキング、イベントに参加できます。
Link:http://patientexperiencenetwork.org/membership/individual-member/
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日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では「PXアワード2020」を開催します。「こんな医療機関がもっとあったらいいのに!」とほかの人に勧めたい医療機関に投票してください。結果は、12月5日開催の「第3回PXフォーラム~PXとEXから考えるWell-being」で発表。投票は下記リンクからぜひお願いします。
Link:https://www.pxj.or.jp/pxaward/
2.新型コロナウイルスとPX
アメリカのPX推進団体「The Beryl Institute」はこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるPXの取り組みをサポートするサイトを立ち上げました。主なコンテンツは以下になります。
☆Honoring Human Service:COVID-19の困難な状況下で患者、家族、医療者がどのように強さ、愛情、回復力をみせたのでしょうか。それらを伝えるストーリー、写真や動画などを投稿しシェアできます。
☆Community Briefings and Conversations:チャット機能を活用したコミュニティブリーフィング。次回は10月2日11:00~11:45AMの開催です。
☆Webinar & Topic Call Recordings:The Beryl Instituteでは、COVID-19とPX関連のさまざまなウェビナーを開催しています。過去のアーカイブ動画やチャット記録を見ることができます。
☆Podcast:ポッドキャストの1つでは、Northwell Healthのシニアバイスプレジデント兼チーフエクスペリエンスオフィサーであるSven Gierlingerさんが個人的な体験を共有しています。COVID-19の発生時の彼のリーダーシップ計画と思考プロセスについての説明です。
☆Publications:『The Essence of Human Experience in the Face of COVID-19(COVID-19に直面するなかでの人のエクスペリエンスの本質)』『Empathy in Times of Crisis(危機における共感)』といったCOVID-19関連の刊行物。
☆Patient Experience Journal:患者体験ジャーナルに掲載された、世界の40以上の組織を代表する90人の寄稿者からの32の記事を紹介しています。
☆PX Connect Discussion :オンラインコミュニティ「PX Connect」を使用してCOVID-19の投稿をフォロー、投稿もできます。
☆Caring for You:医療者のストレスと不安を解消するためのツールとリソースを提供しています。
☆Supporting Your Community:医療チームをサポートする具体的な方法を紹介しています。
☆PX Updates:「Virtual PX2020」「PX Week 2020」などの過去のイベントの紹介。
Link:https://www.theberylinstitute.org/page/COVID-19Resources
3. 今後の予定
PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。「第4回PX寺子屋」は、日程など詳細が決まり次第、掲載します。
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PXEの第2期がいよいよスタートします。第1回PXE養成講座は今週末、9月12日14:00~16:30、オンラインで開催されます(受講申し込みは締め切りとさせていただきました)。「昨年学んだことを振り返りたい!」という1期生の聴講も可能です。1期生で参加されたい方は事務局まで問い合わせください。
Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
新しい猫用トイレを購入したら入っていた段ボール箱で遊べる仕様。CXが高まるアイデアですね。(F)