1.NRC Healthの「2020 Excellence Award」
2.バーチャルヘルスに関する5つの考察
3. 今後の予定
1.NRC Healthの「2020 Excellence Award」
8月24~25日に開催された「第26回NRC Health Symposium」では、優れたPXを提供した組織などを表彰する「2020 Excellence Award」の受賞者を発表しました。シンポジウムとアワードの概要を紹介します。
同シンポジウムは約40年にわたり、医療機関の改善につながるソリューションを提供してきた米ネバダ州にあるNRC Health社が毎年主催しています。今回は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によりオンラインでの開催となりました。
2日間のプログラムは全体セッション、共同セッション、ディスカッションで構成されています。
同社取締役でプログラム開発担当者のRyan Donohueさんは「Patient No Longer: Why Healthcare Must Deliver the Care Experience That Consumers Want and Expect」(患者はもはや存在しない:なぜヘルスケアは消費者のニーズと期待に応えるケア体験を提供しなければならないのか)をテーマに講演しました。ヘルスケア改革、高額医療費の控除、バーチャルケア、COVID-19など医療を取り巻く環境が大きく変化するなかで、果たして患者がヘルスケアの中心にいるのかと提起。患者中心のケアの実現のために何をすべきか、そのための取り組みをどう活性化させるかについて語りました。
シンポジウムの1日目に、「2020 Excellence Award」の受賞者が発表されました。アワードは、患者とその家族からのフィードバックにより、高い評価を受けた組織が受賞対象となり、「PX」「ロイヤルティの高い医療システム」「優れたケア移行」などにカテゴライズしています。
今回、PXの高い病院として大規模病院はSilver Cross Hospital(イリノイ州ニューレノックス)、小規模病院はWabash General Hospital(イリノイ州マウントカーメル)、小児科専門病院はChildren’s of Alabama(アラバマ州バーミンガム)が表彰されました。Children’s of Alabamaについては患者からのフィードバックスコアから、患者中心の文化が組織に浸透していると評価されています。
☆Agenda of 26th Annual NRC Health Symposium
☆Excellence award winners
Link:https://nrchealth.com/about/awards/excellence-award/
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日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では、「PXアワード2020」を開催します。「こんな医療機関がもっとあったらいいのに!」とほかの人に勧めたい医療機関に投票してください。結果は12月5日開催の「第3回PXフォーラム~PXとEXから考えるWell-being」で発表予定です。投票は下記リンクからぜひお願いします。
Link:https://www.pxj.or.jp/pxaward/
2.バーチャルヘルスに関する5つの考察
COVID-19により、日本においてもオンライン診療への関心が高まっていますが、アメリカにおいてもバーチャルヘルスは大きなトピックとなっています。米メディアプラットフォームのBecker’s Healthcareが発行する「Becker’s HOSPITAL REVIEW」にバーチャルヘルスの動向とPXに関連する記事が掲載されています。非対面のコミュニケーションのなかでPXにどう取り組めばいいのかという課題解決につながるヒントになりそうです。
顧客関係管理(CRM)ソリューションの世界シェア1位のsalesforce社(米カリフォルニア州)のグローバルプロバイダー戦略担当、シニアディレクターのErik Wagnerさんによると、COVID-19の流行により、医療現場において効率化向上、費用削減、改善に向けた仮想ソリューションの重要性が高まっているといいます。「医療者と患者とがリモートでのやりとりを迅速に、簡単かつ軽快にできる必要がある」と指摘しています。
Erikさんをはじめ、複数のヘルスケアマーケティング、エンジニアがバーチャルヘルスについて、次の5つを挙げています。
1:バーチャルヘルス=遠隔医療ではない
遠隔医療は、患者に対する臨床医と医療スタッフの関与を改善するために必要な医療システムの1つの機器でしかない。バーチャルヘルスではより積極的なケアを行うための支援を行う、リモートでの患者モニタリング、オンラインスケジュール機能などが含まれる。
2:バーチャルヘルスは医療界の主流
salesforce社のクライアントでは、COVID-19のパンデミック下でバーチャルケアの訪問が4000%も増加。COVID-19の収束が見えないなかでニーズはもっとあり、収束してもニーズがなくなることはない。
3:デジタルソリューションは4重の目的でサポート
salesforce社の仮想医療ツールは、PXを「補完および強化」する設計となっている。患者のケアニーズを踏まえて患者をガイドするチャットボット機能、トリアージ、スケジューリングプロセスを自動化する機能を備えることで、医師は患者のケアに集中でき、患者は簡単かつ迅速に治療を受けられ、健康上のアウトカム向上と経費削減を実現する。
4:軽快さが不可欠
プライマリ・ケアの提供にフォーカスするVillageMDでは、salesforce社の技術を利用し、全米のCOVID-19の高リスク患者にアセスメントシートを送信。通常は数週間、または数カ月かかる可能性があるものを24時間以内に達成した。
5:デジタルソリューションは洞察力を駆り立てる
API(Application Programming Interface;ソフトウェアからOSの機能を利用するための仕様またはインターフェースの総称)駆動型のアプローチを採用したデジタルソリューションでは、医療データだけでなく、患者の行動や金融データを吸収できる。それを使うことで、患者個別のライフプランを開発するための洞察力が高まる。
3. 今後の予定
PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。
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オンラインによる勉強会「第3回PX寺子屋」は、8月29日に開催します。
8月29日(土) 13:00-14:00
PX概論 日本PX研究会理事・東北大学大学院医工学研究科教授 出江紳一
「部下のEXを高める目標設定」 株式会社キャピタルメディカ コンサルタント 大原雄一
※Zoom(Web会議ソフト)での開催となります。参加者にはリンクをお知らせします。
※申し込みは27日(木)までです。研究会会員は無料、会員外の方は有料(本日15:00までに参加費1000円の振り込みをお願いしています)。申し込みは下記リンクからお願いします。
Link: https://www.pxj.or.jp/events/
※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
先日、“オランダ流”泡盛の飲み方を教わりました。基本はロックで、自分の好みに合わせて適宜炭酸水(写真右)で割ります。シークワーサーなど柑橘類をぎゅっと絞れば、口あたりがさわやかに。ぜひお試しください!(F)