日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.115

1. 救急部門のPXサーベイ
2.PX関連の読み物
3. 今後の予定

1.救急部門のPXサーベイ


米メディケア・メディケイドサービスセンター(Center for Medicare and Medicaid Services;CMS)ではPXを測るサーベイとして、日本の病院でも使われているHCAHPSをはじめ、さまざまなCAHPS( Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)を開発しています。2020年3月には救急部門(Emergency Department;ED)のCAHPS商標を取得し、「ED CAHPS」としてリリースしています。

 

アメリカのEDは患者の救命のため、緊急治療室で医療サービスを提供する重要な分野で、2017年には約1億3900万人が受診しています。1986年に制定された緊急医療措置および労働法(The Emergency Medical Treatment and Active Labor Act;EMTALA)により、市民権や支払い能力に関係なく、誰でもスクリーニング検査と治療を受けることができます。

CMSでは2012年、EDでのケアとPXを測定するためのサーベイ開発を開始しました。ED CAHPSは緊急治療室を受診し、自宅退院する18歳以上の成人患者向けに設計。EDへの到着からEDにいる間のケア、退院までのコミュニケーションと調整にフォーカスした35問の設問で構成しています。HCAHPSにもある、患者経験を10段階で評価する設問や、訪れた緊急治療室を友人や家族に薦めるかといった設問が含まれています。また、「6カ月以内に緊急治療室に何回訪れましたか」「緊急治療室以外に健康チェックが必要だったり、健康問題や病気、けがなどの相談を受けたい時にいつも行く診療所などはありますか」といったことを確認したり、学歴や人種などを聞く設問もあります。

ED CAHPSはいつでも自由に無料で利用可能。電話によるフォローアップの有無、メール、ウェブによる実施など、いくつかの調査方法を選ぶことができます。

下記リンクに推奨ガイドラインがあり、各調査方法のテンプレートなどがあります。ED CAHPSのフィールド実験の結果や関連出版物などを見ることもできます。興味がある方はリンクをチェックしてみてください。

 

ED CAHPS

Link:https://www.cms.gov/Research-Statistics-Data-and-Systems/Research/CAHPS/ED

EMERGENCY ROOM PATIENT SURVEY

Link:https://www.cms.gov/files/document/ed-cahps-10-2-column-survey-english-july-2020.pdf

 

2.PX関連の読み物


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が再拡大しています。今日から4連休ですが、外出控えをしている方も多いかと思います。そこで、PX関連の読み物をご紹介します。自宅で過ごす時のお供としてください!

 

☆THE BERYL INSTITUTEの最新ホワイトペーパー

メールマガジンで何回か登場していますが、アメリカ最大のPX推進団体であるTHE BERYL INSTITUTEは最新のホワイトペーパー「Maintaining Human Experience in a New Era of Virtual Connection in Healthcare」(ヘルスケアでのバーチャルなつながりという新時代において人の経験価値を維持する)を発行しています。

COVID-19のパンデミック後の人の経験価値(HX)を向上させる機会について検討した内容です。ヘルスケアにおける仮想ソリューションに強く影響する、組織や患者、患者家族から直接聞いた話をベースとしています。彼らは、COVID-19においてHXを維持するため、バーチャルでのつながりの必要性を説明しています。キーワードとして、「遠隔ケア」「バーチャルにおける患者の手続き」「家族を伴う仮想訪問」「仮想ラウンドと緩和ケアへの対応」の4つが挙げられています。

 

ホワイトペーパーは下記から29.95ドルで購入できます。

Link:https://www.theberylinstitute.org/store/viewproduct.aspx?id=16686063

 

 

☆ PXE1期生の新多寿さんのインタビュー

日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会が認定する、医療現場でPX向上の推進役となるPXE(Patient eXperience Expert)の1期生、小松市民病院の病院長の新多寿さんのインタビューが、医療情報サイトm3.com(エムスリー)で紹介されています。

 

インタビューのなかで新多さんは、公立病院で初の「顔認証再来受付システム」を導入した経緯などを語っています。将来的には、患者以外の来院者や入退室管理などに顔認証を活用することで、安全管理面やマネジメントにもつながると指摘。「現在入院患者の投薬、食事、注射、検査などの確認に使用しているバーコードのついたリストバンドの代わりに顔認証ができればスムーズですし、リストバンドを着けなくて済むので気分がよいと思います。AIで表情からメンタルまでチェックできるようになればすごいですね」などと、展望についてもお話しています。

そして、日ごろ大切にしていることとして、「目の前の患者さんの思いに共感すること」を挙げています。PXとPXEについても語っています。PXEを取得し、どのようなことをやっていきたいのかといったビジョンにも触れてくださっています。

全2回、読み応えのある内容となっています。下記リンクから読むことができます(医療関係者限定の無料サイトで登録が必要です)。

Link:https://www.m3.com/news/kisokoza/792018

 

PXE2期生を現在募集しています。PXEとして、医療現場で改善につなげる活動を一緒にしませんか。概要と申し込みは下記リンクからお願いします。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。

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オンラインによる勉強会「第3回PX寺子屋」は、8月29日に開催します。内容など詳細は決まり次第、お知らせします。

 

8月29日(土) 13:00-14:00

PX概論など

 

※Zoom(Web会議ソフト)での開催となります。参加者にはリンクをお知らせします。

※研究会会員は無料、会員外の方は有料(1000円、事前に参加費の振り込みをお願いします)。申し込みは下記リンクからお願いします。

Link: https://www.pxj.or.jp/events/

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

編集部から


先日、久しぶりに鮨を食べに行きました。三密が回避された店内でゆっくり、美しいマグロを目と舌で味わうというぜいたくなひとときでした。(F)