1. 米Healthgrades社のPXアワード
2.連載「Patient Stories」第46回 Keep fighting(闘い続けよう)
3. 今後の予定
1.米Healthgrades社のPXアワード
米コロラド州デンバーにあるHealthgradesは医師、病院、医療システム関連のリソースを提供している企業です。クライアントである全米1500以上の病院に対し、新たな患者との関係をつくるために病院へのアクセスを改善、顧客ロイヤルティを高める支援を行っています。同社が実施するPXアワードと、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行時におけるPX改善の取り組みを紹介したいと思います。
同社ではPXの高い病院を表彰する「Healthgrades Outstanding Patient Experience Award™」を創設し、今年で12回目です。2020年に受賞した424病院は、PXの高さが全米病院の上位15%に相当します。
病院のPXを測る手法としては、メディケア・メディケイドサービスセンター(Center for Medicare and Medicaid Services;CMS)提供のHCAHPS( Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)の患者サーベイを使用。CMSに100人以上の患者サーベイ(2018年4月~2019年3月の入院患者)を提出した3346病院を対象としています。各病院の患者が回答したサーベイの29の設問のなかから10をPX測定指標として適用し、評価しました。
10の設問は、病院の清潔さや騒音レベル、プロバイダーのコミュニケーションなど、病院でのケアに関する患者視点にスポットを当てています。2020年からは新たに、「患者が退院するまでの間、病院スタッフは患者のケアニーズを理解したうえで、いかに上手にコミュニケーションを図っていましたか?」の設問を指標として追加しています。病院の総合スコアで9や10をつけ、家族や友人に病院を勧める患者との相関が最も高い重要な指標だとわかったからです。
同社が実施したCOVID-19における患者の信頼性に関する調査では、提供される医療の質によって病院を選択するとの回答がCOVID-19前よりも65%高くなるなど、患者行動に重要な変化が見られると指摘しています。そこで同社は、COVID-19における患者のケアについて、アワード受賞病院のいくつかに聞き取りをしています。
受賞病院の1つの取り組みを紹介します。
ニューヨーク州のホワイトプレインズ病院は、マンハッタンから北に30マイルのところにある292床の病院です。多くの病院と同様に、COVID-19のアウトブレイク後は訪問者を制限する必要から、患者は隔離され、家族は患者の様子が何もわからない状態でした。
快適な状況をつくるためにiPadやほかのモバイルデバイスを患者に貸し出すことで、患者は愛する人たちとコミュニケーションをとることができました。このことを聞き、450のチャットセッションを進めるため、病院のコミュニティはさらに35台のiPadを寄付しました。
セッションは日常の挨拶から、最期のお別れの歌にまで及びました。同院では患者が最期まで、愛されていたと感じていたことを確かめたかったのです。スタッフは患者が好きな曲、心を落ち着かせる曲を流したり、患者に生きる力を与える家族からのメッセージを聞かせました。このような取り組みにより、以前は病気に打ち負かされていた患者は、治療に前向きにかかわるようになり、家族と会えない不安は和らぎました。生きようと病気と闘うようになり、多くの患者は家に帰ることができました。スタッフとコミュニティの努力により、患者は自分が愛されていたと知り、家族は病院の閉鎖を受け止めることができました。
同院のコミュニケーションディレクターのMichael Gelorminoさんは、「スタッフがPX改善をフォーカスしたこと、コミュニティの寛大さのおかげで、患者はCOVID-19と懸命に闘い、彼らの多くが愛する人たちのもとに帰ることができました」と話しています。
アワードの評価、受賞病院の一覧、受賞病院の取り組みは下記リンクにあります。
Link: https://www.healthgrades.com/quality/outstanding-patient-experience-award-2020-recipients
2.連載「Patient Stories」第46回 Keep fighting(闘い続けよう)
第46回「Patient Stories」では、健康に問題がなかった40代男性がCOVID-19に感染した状況と闘病のストーリーを紹介します。どんな患者でも孤独を感じて自分を見失ってしまうこと、取り戻すためにはコミュニケーション、共感が大事なことがわかりますね。
☆ ストーリーの共有で安心と強さを取り戻す
3月中旬の午前4時半に、 Chris Kielsmeierさんはクリーブランドクリニック・ヒルクレスト病院のベッドサイドのナースコールを押しました。COVID-19の影響により、相当困難な闘いを強いられ、眠ることも訪問者を受け入れることもできませんでした。クリーブランド州立大学の女子バスケットボールのヘッドコーチである44歳の彼は、話しかける相手が必要だったと記憶しています。しかし看護師のAngela Tekalecさんが病室に入ってきた時、何を話せばいいのかがわかりませんでした。「何を言おうとしているのかがわからず、ただひどい気分で、ひどいひと時を過ごしていると伝えました。彼女はベッドサイドに1時間半座って、彼女の人生について私に話し、人生のストーリーを共有しました」
「お互いの日常生活やニュースにないことについて話しました。COVID-19のパンデミック以外のことに集中することで彼は安心と強さを取り戻しました」とAngelaさんは振り返ります。
Chrisさんはヘッドコーチ2年目で、3月9日の月曜日に普通でない疲れを感じていましたが、自分が病気だとは思っていませんでした。「国内のすべての3月のバスケコーチと同じく、私は疲れていましたが、病気になるとは考えていませんでした。試合に負けて、シーズンがほぼ終わりました。そして次の夜、人生で経験したことのない最悪の痛み、悪寒で夜中に目が覚めました」
インフルエンザにかかった可能性を考えて、木曜日まで待ってからクリーブランドクリニック・ブロードビューハイツメディカルセンターを訪れたChrisさんは、すぐにヒルクレスト病院を紹介されました。COVID-19検査を受け、土曜日に陽性と判明しました。Chrisさんはすぐにチームスタッフに伝え、スタッフはChrisさんが接触した人たちに迅速な措置をとりました。
「私はひどい状態でしたが、病気になるような体質ではありません。今シーズン最後の試合を指導し、10日後には入院しています。それが私にとっては、どれほど迅速だったことでしょうか」
抗生物質に加えて免疫抑制薬による治療を行い、数日後、気力のなさと痛みを感じていましたが、家に帰るには十分回復していました。回復をサポートするため、アセトアミノフェンを服用しました。彼は時々、医師や看護師、スタッフがチームで、彼の回復のためにいかに精力的に働いたかを考えます。「彼らは治療に懸命だったので、命の危険にさらされていました」とChrisさんは付け加えます。「看護師は私に付き添い、回復を助けました。彼らは私の人生を変えました。病院での滞在を、永遠に覚えているでしょう」。彼は3カ月経った今でも、極度の疲れと闘っています。同じ状態にあるかもしれない人に、「闘い続けなさい」とメッセージを送ります。
「 Chrisさんはいい人で、彼は本当に多くのことを経験しました」と看護師のJanice Crow-Guzikさんは言います。「彼にはつらいことですが、いくらかの人には回復に時間がかかります。彼はより強くなっていきます。彼が安全で、安心できるように全力を尽くし、さらによくなることを願っています」
3. 今後の予定
PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。
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オンラインによる勉強会「第2回PX寺子屋」はいよいよ今週末の開催です。まだ参加を受け付けておりますので、お時間ある方はジョインしましょう!
6月20日(土) 13:00-14:00
PX概論 北海道大学歯科医師 濱田 浩美
PXE事例紹介:小松市民病院におけるPX学習会
小松市民病院 病院長 新多 寿/日本PX研究会 代表理事 曽我 香織
※Zoom(Web会議ソフト)での開催となります。参加者にはリンクをお知らせします。
※研究会会員は無料、会員外の方は有料(1000円、事前に参加費の振り込みをお願いします)。申し込みは下記リンクからお願いします。
Link: https://www.pxj.or.jp/events/
※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
好きな食べものベスト3にランクインするメロン。「メロンあんみつ」なるものに出合いました。食べると口の中にぶわわーっとメロンの味と香りが広がり、至福の時を過ごせました。(F)