日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.88

1.「PXE2期生」募集開始します!
2.連載「Patient Stories」第26回 “ Livvy”から“Annie”へ
3. 今後の予定

1.「PXE2期生」募集開始します!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では昨年、医療現場や職場でのPXの推進役となるPXE(Patient eXperience Expert)の認定資格をスタートさせました。1期は26人が認定試験に合格しています。今年は6月から第2期の養成講座を開催、受講者の受付を開始しました。

 

「患者中心の医療って何?」「どうすれば患者さんに選ばれる医療機関になれる?」「患者想いの医療者を増やしたい」――PXEはこういった医療現場の課題解決につながる知識と対応策を身につけた人材であり、当研究会では多くのPXEに活躍していただきたいと考えています。

PXE取得によって、患者視点で客観的に所属組織を見つめ直すことができ、PXやPS(Patient Satisfaction; 患者満足度)の向上につながります。また、同じ課題意識を持つ仲間とのネットワークができ、お互いの事例から学び合うこともできます。患者視点の医療サービスを実現したい方であれば医療者以外の方も、どなたでも受験可能です。

PXE取得は、認定試験を受けていただくことが条件です。そのためのPXの基本的な知識は、養成講座の受講で身につけることができます。PXE養成講座は全5回、PXとPSとの相違点や関係性を理解したりPX向上施策を検討したり、患者視点のコミュニケーション法などを学ぶ内容です。

昨年のPXE養成講座の様子。グループに分かれてペイシェント・ジャーニーマップを作成しました!

 

PXEの受験要件、養成講座の開催日程、申し込みは下記リンクからお願いします。PXを推進する仲間として、当研究会と活動していただける方をお待ちしています!

Link: https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

 

2.連載「Patient Stories」第26回 “ Livvy”から“Annie”へ


「Patient Stories」の第26回は、さまざまな病気から生きるために肝移植を必要とした女性が主人公。見知らぬドナーからの提供で生体肝移植を行うことになりましたが、実は……という感動ストーリーです。

 

☆コミュティサイトで「すべての肝臓を召集!」

Mindy Craftさんは“ Livvy”にはよい日も悪い日もあることをすぐ悟りました。 悪い日とは、彼女がベッドから離れるためのエネルギーがないことを意味します。また、彼女に激しいかゆみに耐えさせるといった混乱を引き起こし、病院への“緊急旅行”に向かわせることになります。

“ Livvy”とはMindyさんが2016年2月1日の肝移植が成功する前の、自分の肝臓につけた名前です。複雑な病状の良し悪しを、彼女が愛する人たちが理解しやすいように名付けました。成人期を通じて病気への対処に慣れていたMindyさんは、優美さとユーモアで“ Livvy”の苦難を受け入れました。

 

1998年、29歳のときにMindyさんはクローン病と診断されました。その後まもなく潰瘍性大腸炎、クローン病とは別の炎症性腸疾患の治療を受けました。2012年にはERCP(内視鏡的胆管膵管造影)で胆管の稀な疾患である原発性硬化性胆管炎であることがわかりました。

「2015年9月に、Mindyさんは胆管がんと診断され、それは致命的なものでした」とクリーブランドクリニックの 肝移植医療ディレクターであるK.V. Narayanan Menonさんは振り返ります。「肝移植前に放射線治療と化学療法が必要でした。2010年に臓器共有のための統合ネットワーク(UNOS)によって承認されたプロトコルがなければ、Mindyさんが5年間生き延びた可能性は低かったでしょう」

Mindyさんは放射線治療と化学療法を開始し、亡くなったドナーからの肝臓提供を待ちましたが、生きているドナーからの提供を勧められるところまで病気が進行していました。Mindyさんの夫のScottさんは、MindyさんのCaringBridge(さまざまな病気に直面する患者と家族、友人とのコミュニティサイト)に「すべての肝臓を召集!」と投稿し、大きな反響を受けました。

「見知らぬドナーが適合テストを受けているという話を聞きましたが、ほかは何も知りませんでした」とMindyさん。2016年1月24日、Mindyさんは、会いたいと思っていた友人のKaren Ciolekさんから電話をもらいました。KarenさんとMindyさんはオルムステッド・フォールズの幼稚園で出会い、すぐに親友となりました。

Karenさんは病院に到着し、 病室でScottさんと2人の娘ChelseaさんとMadyさんを見つけました。「私はMindyのところまで歩いて行き、『私が見知らぬドナーよ!』と彼女の耳元にささやきました」

「子どもたちの顔にほっとした表情が見られました。Karenの肝臓が適合しなかったら生き残れなかったでしょう。彼女は私の命を救いました」とMindyさんは回想します。Karenさんは自分が幸運だと思っています。「誰かの人生をよりよいものに変える機会は素晴らしいの贈り物……私たちができる最高のことです」

病室の訪問から8日後、Mindyさんは新しい肝臓を手に入れました。「彼女(新しい肝臓)の名前は“Annie”(Karenさんのミドルネーム)です。“Annie”は毎日、素晴らしい日よ」

 

クリーブランドクリニックの生体肝移植プログラムはオハイオ州で唯一、成人および小児の生体肝移植を行っています。

 

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/347-unexpected-donor-steps-up-to-save-her-friends-life

 

 

3. 今後の予定


日本PX研究会では勉強会を3年間、東京で定期開催していましたが、2020年は「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していきます!

内容は、PXの初歩的な話と実践事例(事例はスピーカーによって異なります)の紹介です。年10回程度を予定しており、日時、場所は決定次第、当メールマガジンやホームページでお知らせします。自分の医療機関や地域で寺子屋を開催したいというご要望にもお応えできればと思っていますのでぜひお声がけください。

※研究会員の方が対象です。地方開催の場合は交通費をご負担いただきます

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


今年もメールマガジンのご愛読、よろしくお願いします! 年末年始は体調を崩してしまい文字通りの寝正月。毎年恒例の実家近くからの初日の出を見ることもできませんでしたが、PX研究会メンバーが初日の出の写真をシェアしてくれたので、それを拝みました。感謝!(写真は2019年のものです)(F)