日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.64

1.PXを革新する好事例を“横展開”
2.連載「Patient Stories」第5回 ドナーとの感動の対面は?
3. 今後の予定

1.PXを革新する好事例を“横展開”


アメリカのPX推進団体「The Beryl Institute」がこのほど発行した最新のホワイトペーパー(報告書)の内容を紹介します。

 

「PXを革新する;トレンドとギャップ、契機」というタイトルがつけられており、その内容はThe Beryl Instituteが今年4月に開催したイベント「Patient Experience Conference2019」で発表された「Patient Experience Innovation Awards」の応募論文から、PX向上につながるイノベーション事例を見出し、横展開するというものです。

Patient Experience Innovation Awardsは患者、家族、スタッフ、医師のエクスペリエンスを高めるための新しいアプローチを行っている団体・個人を表彰。組織、チームワーク、ヘルスケアの専門家、患者と家族アドバイザーの4部門にわかれています。第1回は、緩和ケアやチャイルドライフサービスを提供するテキサス州最大の非営利ヘルスケアシステム「Baylor Scott&White Health」などが受賞しています。

応募論文はThe Beryl Instituteが開発したフレームワークによってイノベーションを検証したうえで、多くの医療現場で横展開していくということです。このフレームワークにはエクスペリエンスを強化するための8つの戦略レンズ(視点)があるのですが、応募論文の内容で該当が多かった順に、以下に挙げます。

・患者、家族、地域コミュニティのエンゲージメント

・スタッフと臨床医のエンゲージメント

・イノベーションと技術

・医療の質と臨床的卓越性

・文化とリーダーシップ

・環境とホスピタリティ

・インフラとガバナンス

・ポリシーと測定

エンゲージメントが高まれば、エクスペリエンス向上につながるというのは想像がつきますね。一方、エントリー論文からイノベーションを見つけるという発想は目から鱗が落ちました。

 

出典:https://www.theberylinstitute.org/news/453633/Innovations-in-Patient-Experience-Explored-by-The-Beryl-Institute.htm

 

 

2.連載「Patient Stories」第5回 ドナーとの感動の対面は?


「Patient Stories」の第5回は、骨髄移植を受けた患者の物語。5年後にドナーと感動の対面を果たします。あなたならどうやって感謝を伝えますか?

 

☆命の恩人にどう感謝する?

Margaret Lytzさんは毎年視力検査を受けていましたが、2013年に目と頭の後ろから出血があったため、すぐに主治医のところで血液検査を受けたところ、慢性骨髄性白血病と診断されました。最初は薬で治療できるタイプの白血病だと楽観視していましたが、アレルギーなど副作用があることがわかりました。

主治医からクリーブランドクリニックを紹介されたMargaretさんは、同院の腫瘍専門医から骨髄移植を勧められ、同クリニックがんセンターの血液・骨髄移植プログラムの腫瘍専門医であるBetty Hamiltonさんのもとを訪れました。BettyさんはすぐにMargaretさんの骨髄ドナー登録の手続きをし、3カ月後には見知らぬドナーと白血球の型が一致。「すべてのことが正確にコーディネートされなければなりませんでした。完璧なタイミングでなければならなかった」とMargaretさんは振り返ります。

移植後、 Margaretさんはケアチームの指示に従って回復し、1カ月後には自宅に帰ることができ、夫のMikeさんとワイナリーを経営する生活に戻りました。ある時、骨髄を提供してくれたドナーに感極まり、「生きていることに感謝しています!」とメッセージを送りました。ドナーからは「私の骨髄細胞が役に立っていることがうれしいです」と返信がありました。

移植から5年後の2018年、クリーブランドクリニックが企画した特別なイベントで、MargaretさんはドナーのJohn Dengelさんとついに対面しました。「私は彼の笑顔に気づき、ハグしました」と Margaretさん。「あなたは命を救ってくれた人にどう感謝しますか。ただただ、言葉が出ませんでした」

 

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/262-leukemia-patient-meets-bone-marrow-donor-who-saved-her-life

☆☆☆

日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では今年から、PXの高い医療機関を投票によって決める「PXアワード」を開催します。医療従事者、患者、企業の方、どなたでも投票可能です。PXの高い医療機関として推薦する医療機関名と推薦理由、あなたの患者としてのストーリーをお寄せください。

PXアワード2019

3. 今後の予定


第28回勉強会はいよいよ今週末、7月13日(土)の開催となりました。PX研究会のメンバーがそれぞれの取り組みを紹介します。多くの生の声を聞ける機会です、ぜひ足をお運びください。

 

第28回 PX研究会 勉強会

7月13日(土)13:30-15:30

場所:株式会社イトーキ SYNQA 2F

「PX概論」 講内源太

「PX最近のあゆみ」
演者:齋藤貴之・斎藤恵一・曽我香織・西本祐子・講内源太

会費:勉強会参加費 1000円(研究会員は無料)

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

※7月13日(土)開催の第3回PXE養成講座の会場ですが、ヒューリック銀座会議室Eとなります。

https://www.relo-kaigi.jp/thespace/room/hulic-ginza/access/

 

編集部から


久しぶりに虹を見てときめきました。そんなことはありえないと言われますが、虹の下をくぐり抜けたことがあります!(F)