日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.313

1.病院マネジメントにPXは重要
2.消費者視点でのPX
3.今後の予定

1.病院マネジメントにPXは重要


現在のヘルスケア市場では、優れたPX(Patient eXperience;患者経験価値)を提供することが病院の競争優位性につながります。米国メディアプラットフォームであるBecker’s Healthcareが発行する「Becker’s HOSPITAL REVIEW」の記事は、麻酔など特定分野のマネジメントにもPXが重要であると指摘しています。

医学雑誌BMJ Openに掲載されたエビデンスに基づく論文では、PXとより良い臨床結果との相関関係が示されています。病院やその他の環境における幅広い患者を対象とした55件の研究を検証した結果、著者のCathal Doyleさんらは「提示されたデータは、PXが臨床効果および患者の安全性と正の相関関係にあることを示しており、医療の質における主要な柱の一つとしてPXを取り入れるべきであるという主張を裏付ける」と結論づけています。

複数の課題に直面している病院では、患者満足度の向上に注力するためのリソースが不足していることがよくあります。この問題を認識した米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)は、“Why Improve Patient Experience?”(どうしてPXの改善が必要なのか)というレポートを公表しています。効果的な医療の質向上プログラムの重要な要素として、複数の研究を引用しながらPXを優先することの価値を説いています。ビジネス上の利点として、PXは患者のロイヤルティや医療過誤リスクの低減など、主要な財務指標と関連していることが指摘されています。臨床スタッフの人材不足が危機的な状況にあることを踏まえると、PXの改善が従業員の満足度を高め、臨床スタッフの離職率を低下させるということも同様に重要です。

PXに対する積極的なアプローチを促す要因として、AHRQはHCAHPSのスコアの公表や、業績に基づく臨床医の報酬プログラムにPXの評価指標を組み込むことなどを評価しています。改善の必要性を裏付けるエビデンスがなければ、行動やプロセスを変えることは困難です。AHRQは、PXの評価基準は、検査の遅延やより広範な品質と安全性のギャップなど、重大なシステム上の問題を特定するのに役立つと指摘しています。

病院が特定の医療専門分野に独自の臨床スタッフを雇用している場合、これらの課題はさらに複雑になる可能性があります。米国最大の麻酔サービス管理会社であるNAPA(North American Partners in Anesthesia )は独自のPatient Anesthesia Experience Program(患者麻酔体験プログラム)を開発、病院に提供しています。麻酔に特化したPX調査では患者のコメントを収集し、NAPAの顧客施設と共有して償還報告の改善や地域におけるPXの取り組みを支援するためのデータ作成を目的としたものです。NAPA EVP兼最高医療責任者(CMO)のLeo Penziさんは、「患者からの個人的なフィードバックによって患者自身がケアのレベルをどのように認識しているかの洞察を提供し、臨床データを補完します。臨床医が患者から受け取るフィードバックは、臨床医と患者との人としての関わりについての貴重な洞察をもたらし、PX改善を推進する」と話しています。

下記リンクの記事には、BMJ Openの論文とAHRQのレポートのリンクがあります。PXのエビデンスに関わる内容なのでぜひご一読ください。

Link:https://www.beckershospitalreview.com/strategy/the-importance-of-patient-experience-in-hospital-managed-services.html?utm_campaign=bhr&utm_source=website&utm_content=latestarticles

2. 消費者視点でのPX


米国のPX推進団体The Beryl Instituteは2025年2月、PX Pulse「米国におけるPXに関する消費者の視点」というレポートを公表しました。消費者がヘルスケアをどのように理解し、関与しているかを深く掘り下げた内容です。

レポートでは「米国の医療制度の質に対する認識は依然として遅れをとっている」と指摘していて、医療制度を「良い」または「非常に良い」と評価する回答者は50%以下にとどまっています。一方で、国民の90%以上が、PXは依然として「非常に重要」または「極めて重要」としていることがわかりました。「人々がヘルスケアの決定を下す方法の改善」「ヘルスケア組織における共同意思決定の優先」「ヘルスケアシステムの重要なメンバーとしての介護者へのサポート強化」の3 つが強調されています。

今回のリリースでは、メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)の病院評価システムに対する認知度と理解度、患者が自身の治療を管理し、積極的に関与する方法(参加型医療学会との共同調査)、そして米国における介護者の役割(誰が、どのような方法で行うか。人々がこの責任を担う際に直面する課題)について言及しています。

全文PDFは下記リンクにあります。

Link:https://f2e0df8ds.s3.amazonaws.com/wp-content/uploads/2025/02/19183527/TBI_PXPulse_Q2_Feb2025_v2.pdf?X-Amz-Content-Sha256=UNSIGNED-PAYLOAD&X-Amz-Algorithm=AWS4-HMAC-SHA256&X-Amz-Credential=AKIA4SYAMETL77S3MPNR%2F20250220%2Fus-east-1%2Fs3%2Faws4_request&X-Amz-Date=20250220T234152Z&X-Amz-SignedHeaders=host&X-Amz-Expires=900&X-Amz-Signature=90de638d9b138d11c3e39cd98d4cacf7e1f22f5d9052f52d4e80dfdcb7c91ccb

3. 今後の予定


3月15日(土)12:30-13:30にオンライン勉強会「PX寺子屋」を開催します。PXの基本を講師の視点から学べる「PX概論」は坂口歯科医院の坂口豊さんが登壇。トピックは「初めての医療マネジメント学会から論文までの軌跡」と題して、社会医療法人清風會日本原病院の平尾由美さんが話します。研究会会員は無料、一般の方は1000円です。2025年最初の勉強会にぜひご参加ください!https://www.pxj.or.jp/events/

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


平日昼に出かけられる生活が終わるのでふらりと温泉に行ってきました。身体を整えると気持ちもしゃんとしますね!(F)