日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.294

1.第6期PXE養成講座スタート
2.PX研究助成を公募します!
3.今後の予定

1.第6期PXE養成講座スタート


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では2019年から、PXE(Patient eXperience Expert)という医療現場でのPX(Patient eXperience;患者経験価値)推進役を育成しています。7月6日に第6期の養成講座がスタートしました。今年は70人超の方に参加いただいています。

全5回の講座では、PXとは何かといった概論、PS(Patient Satisfaction;患者満足度)との違い、入院から退院までのプロセスを患者さんの視点で俯瞰し、改善するペイシェント・ジャーニーマップの作成、患者ニーズを引き出すコーチングなどを学ぶことができます。今年からは、昨年末に発刊した『ペイシェント・エクスペリエンスー日本の医療を変え、質を高める最新メソッド』(三輪書店)をテキストとして採用しています。https://shop.miwapubl.com/products/detail/2713

第1回は「エクスペリエンス概論」。PXとは何か?という基礎から始まり、PXへの理解をより深めるためにCX(Customer eXperience;顧客経験価値)についての考え方を学びました。今回は、PX研究会の運営メンバーである代表理事の曽我香織さん、理事の安藤潔さんが講師を務めました。

PX養成講座は第4回以外はオンライン開催ですが、参加者とのディスカッションの場を多く設けています。「これまでに一番心に残った患者体験は?」「スターバックスに行ったときの『価値の4段階』を書いてみましょう」といったテーマについて議論しました。第2回は8月17日(土)に開催します。

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同日、PXについて学ぶオンライン勉強会「第15回PX寺子屋」を開催しました。運営メンバーが講師を務める「PX概論」では、富士通株式会社健康推進本部の治田茂さんが米国オハイオ州のクリーブランドクリニックの動画について触れながら、「『今日のあなたは昨日のわたし』であり、スタッフが患者の視点で自分たちの医療について考えることが大事」と話しました。また、「行動も感情も『する側』『される側』が存在するが、その立ち位置はプロセスごとに入れ替わるもので高低や優劣はない。コミュニケーションと同じぐらい、信頼関係は大切」などと説明しました。

また、第26回日本医療マネジメント学会でPXについて発表した参加者の報告がありました。前回のメールマガジンで触れていなかった、訪問看護ステーションアクティホームの事業責任者である講内源太さんの演題について紹介します。

講内さんが取り上げたテーマは、「PXの概念を用いた訪問看護事業における業務改善」。ケアプロセスの基盤として2023年、外来版PXサーベイを訪問看護プロセスに落とし込みした設問を同意を得た利用者56人に配布し、実施。2022年に同じ調査を実施したなかで課題として抽出された「契約内容の説明」「利用者が服用する薬への理解」「生活環境の提案」については、説明パンフレットの見直しや週1回ミーティング、症例検討などで取り上げることにより、それぞれ改善しました。結論として講内さんは、「患者中心性を評価する際に、在宅療養生活に対する訪問看護プロセスの評価は、当事業所における現在強みとなるところに加え、業務改善の視える化につながった。在宅療養生活は、ご家族含む介護者におけるプロセスも存在をしているため、双方向からの評価を改めて実施する必要性も考えられる」と語りました。

次回寺子屋は、11月9日(土)開催です。内容が決まりましたら、当メールマガジンでお知らせします。

2. PX研究助成を公募します!


PX研究会では昨年に引き続き、PXに関する研究を推進するための助成金制度を設けています。今年の申請期間は8月1日〜10月31日です。PXおよびEXに関する研究・実践に対して、助成額は1件あたり原則50万円とします。

助成対象はPX、EXを測定するサーベイを実施。そのうえでPX、EXを向上させる取り組みを⾏い、その
成果を評価するまでの⼀連の研究・実践です。病院、診療所、介護保険サービス提供事業所のほか、製薬企業や医療機器企業の職員、保健医療福祉に関係する⾏政職員を対象とします。

助成対象は研究会役員で構成する選考委員会で決定。研究・実践は助成金交付後、原則1年間とし、研究者には報告書を当研究会に提出していただきます。

興味がある方は、下記リンクの募集要項をご確認のうえ、申請ください。

Link:https://www.pxj.or.jp/joseikin-2024/

3. 今後の予定


※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


暑い日が続きますね。近所の大学でかき氷を食べようと思ったのですが、いつの間にかお店がクローズしていました。街の移り変わりの早さについていけていません。。(F)