日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.288

1.CX向上の5つのベストプラクティス
2.今後の予定

1.CX向上の5つのベストプラクティス


PX(Patient eXperience;患者経験価値)の元となる考え方に、マーケティング分野で使われているCX(Customer Experience;顧客経験価値)があります。CX向上はあらゆる企業にとって、顧客との関係強化、ロイヤルティおよび継続率の向上、イノベーション、コラボレーション、そして全体的な成長を示す重要なものとなっています。「顧客の成功に焦点を当てることは、企業が提供するCXの質と密接に関連しており、結果として従業員はより幸せになり、顧客のライフサイクル全体を通じて優れた業績を上げることができる」と米国ジョージア州のIoTソリューションなどを提供するKOREのCEOであるRomil Bahlさんは話します。さらに、顧客に成功をもたらす、次の5つのプラクティスを挙げています。

1.顧客を知る(KYC)ーーそして自分自身を知る
顧客の戦略的優先事項、業務上の課題、期待などを十分に理解することが、顧客との関係を強固なものにするカギとなります。また自分自身を知ることでもあり、自社独自のバリュー・プロポジションをしっかりと理解することは、チーム間のコラボレーションを促進し、質の高いCXを企業の中核的価値とするために不可欠です。

自分がかかわっているチームを知ることでもあります。キーパーソンの個人的なレベル、つまり彼らの目標や成功の評価方法などを知るために時間を費やし、交換する情報は機密事項であることを確認します。顧客層にどのようにアプローチするつもりなのかを知ることも重要です。定期的なコミュニケーションは信頼を強固にするので、顧客には常に情報を提供するようにしましょう。顧客との約束はすべて守り、常に顧客の期待を上回るよう努力します。

2.顧客の声(VoC)フレームワークの構築
パーソナライゼーションとヒューマンタッチは、CX戦略の成功に不可欠な要素です。適切なリスニング・ポストを確立したうえで、定期的にフィードバックを収集し、顧客の進化するニーズを理解し、改善点を把握します。カスタマー・アドバイザリー・ボード(顧客諮問委員会)のような機関を設立し、主要顧客からフィードバックを募り、自社のサービスや製品ロードマップを充実させます。製品やサービスの改善に活用し、CX全体を向上させることは既存顧客との関係を維持・改善するだけでなく、潜在顧客にとってさらに魅力的なビジネスへと成長させるための素晴らしい方法です。

3.効果的なコミュニケーションの確保
顧客にとっての幸せをモニターし、サポートするために積極的なアプローチを取ります。定期的に顧客と連絡を取り、進捗状況を把握し、潜在的な問題があれば早期に対処します。

さらに、必ず顧客の成功を祝うことです。関係構築に役立ち、将来的に懸念事項に対処する必要が生じた場合にも、事態を円滑に進めることができます。ただし、過剰なコミュニケーションは逆効果になる可能性があるので、共有すべき価値ある情報があるときだけ連絡を取るようにしましょう。

最後に、顧客の立場に立って共感すること。自分の視点からカスタマージャーニーを可視化します。「もし自分が顧客だったら、どのような結果に満足するだろうか?」「何が私をいらだたせるだろうか?」「どのくらいの頻度で更新されるのが望ましいか?」などの問いについて考えます。顧客同士のつながりを促進し、知識やベストプラクティスを交換できるようにすることで、コミュニティ意識を醸成することができます。

4.データが導く
定量化が可能な指標は、顧客の成功を具体的に示す素晴らしい方法です。顧客に約束の達成状況を伝えるだけでなく、それを示すことです。成功を測定するKPIを設定し、それについて話し合うQBR(Quarterly Business Review;四半期ビジネスレビュー)を予定します。現在の帯域を超える成果物や、実現不可能なタイムラインを約束するのではなく、正直であることが最善の策です。明確な期待値を設定し、顧客があなたのチームに何を期待できるかについて透明性を保ちましょう。

5.模範的なカスタマーサービスを提供する努力
顧客がすぐに使い始められるよう、明確なガイダンスとサポートを提供することで、効果的なオンボーディングを実現します。電子メール、電話、チャットなど複数のチャネルを通じて継続的なサポートを提供し、迅速な対応を心がけましょう。

顧客からの指摘には即座に対応することを心得ます。さらに、顧客が製品やサービスを十分に活用できるよう、ウェビナーや文書など、包括的なトレーニングや教育リソースを必ず提供することです。ナレッジ・ポータルを充実させ、パーソナライズド・アシスタンスと並んでセルフサービス・オプションを推進することでアクセスと対応を効率化し、「初回から正しい」考え方を育成します。

顧客との関係は共生的なものであり、あなたが提供するCXに注ぎ込んだものが、あなたに返ってくるのです。顧客の利益を最優先し、長期的な関係を優先して意思決定する権限を従業員に与えることで、信頼感と協調性が育まれ、両チームが目標を達成するのに役立ちます。CXを企業のアイデンティティの礎とするために、個人チームも部門横断チームも、可能な限り最高のサービスを提供することに挑戦しましょう。そうすることで顧客のチームだけでなく、自社のチームにとっても永続的な成果を確保することができるからです。

全文は下記リンクからご一読ください。

Link:https://www.forbes.com/sites/forbestechcouncil/2024/05/21/winning-together-top-5-best-practices-to-ensure-customer-success/?sh=3c27d58328e9

2. 今後の予定


2024年度のPXE6期生の募集を開始しました。全5回で、PX概論からペイシェントジャーニーマップの作成、PXに欠かせないコミュニケーションなどを学ぶことができます。PXE同期、卒業生とのネットワークにより、PX実践につながる交流も図れます。

医療者だけでなく企業勤務の方も受講可能です。申し込みは下記リンクからお願いします。https://www.pxj.or.jp/pxe6/

※6期からはPX研究会編著の書籍『ペイシェント・エクスペリエンスー日本の医療を変え、質を高める最新メソッド』(三輪書店)をテキストとして使用しますので、受講生の方は下記から各自でご購入をお願いします。

三輪書店オンラインショップhttps://shop.miwapubl.com/products/detail/2713 

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4895908062?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_TQ04SWYRV6624N0S4X4K 

※全国の書店でも購入できます。

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今年もEX講座を開講します。EXの定義、PXとの関連性、EXを高める上でどのような視点が重要なのか、どのような取り組みができるかを初学者向けにまとめた内容となります。5月25日、6月1日の全2回のオンライン開催となります。詳細および申し込みは下記リンクからお願いします。

https://www.pxj.or.jp/ex/

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株式会社スーペリアでは、6月21〜22日に福岡市で開催の「第26回日本医療マネジメント学会学術総会」において、22日12:25~13:15まで、ランチョンセミナーを企画。国内の好事例を示しつつ、医療従事者のEXやワークエンゲージメントを高める働き方改革の実現について話し合います。テーマは、「『医師の働き方改革』を考えるーPX/EX の視点で働き方改革をデザインするー」。6月5日まで事前予約を受け付け中です。

LINK;https://www.congre.co.jp/jhm2024/registration/index.html

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スーペリアでは、医療従事者を対象とした「働きやすい職場づくりのための実践的医療コーチング体験会」を企画しました。チーム医療やPXに関してはもちろん、医療現場でコーチングが求められている背景などもお話しします。ご関心のある方は、ぜひご参加ください。

日時:2024年6月15日13:00~15:00(12:45頃より入室可能)

講師:安藤 潔(東海大学医学部血液・腫瘍内科客員教授)

開催形式:オンライン(Zoom)

対象:病院、クリニックにお勤めの医療従事者 ※管理者を想定した内容となります

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


最近はエアロバイクを漕ぎながら、ワインインポーターのブログを読んでいます。知識があると飲む楽しさが広がることにようやく気づきました笑(F)