1.全米の病院のPXと感染症予防が改善
2.日本医療マネジメント学会・医療コーチング体験会のご案内 week
3.今後の予定
1.全米の病院のPXと感染症予防が改善
安全性と品質に関するデータを20年以上にわたり収集、分析、公開してきた米国の非営利団体リープ・フロッグはこのほど、2024年春の病院安全性評価を発表しました。春と秋の年2回、評価を行っていますが、2023年秋に比べるとPX(Patient eXperience;患者経験価値)は改善傾向にあり、予防可能な医療関連感染症についてはパンデミック(世界的大流行)の最盛期には空前の感染率でしたが、持続的な減少を示しているとのことです。
PXはHCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)によって測定されます。また、病院安全性評価(Hospital Safety Grades)に使用される30以上の評価項目のうち、患者の安全性に直接影響する5つのPX指標として、「看護師とのコミュニケーション」「医師とのコミュニケーション」「スタッフの対応」「医療に関するコミュニケーション」「退院情報」があります。各指標のスコアは、病院受診後の全国的かつ標準化された調査における、患者からの回答に基づいて算出されます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが始まって以来、PXは悪化していましたが、今回の評価では、前回の2023年秋と比べるとすべての指標で上回っており、改善の兆しが見え始めたものの、それでもパンデミック前の水準には程遠い状況でした。
患者が医療機関での滞在や治療によって新たに感染したHAI(healthcare Associated Infections;医療関連感染)の発生率が劇的に低下したほか、CLABSI(Central line-associated bloodstream infections;中心静脈ライン関連血流感染)は34%減少、CAUTI(Catheter Associated Urinary Tract Infections;カテーテル関連尿路感染症)とMRSA(Methicillin Resistant Staphylococcus Aureus;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 )はそれぞれ30%減少しています。
各病院にグレードをつけるだけでなく、州別、そして今回初めて「A」病院の割合の高さに基づく都市圏別の、患者安全性のベスト・パフォーマンスを報告しました。上位3都市圏は、アレンタウン(ペンシルベニア州)、ウィンストン・セーラム(ノースカロライナ州)、ニューオーリンズ(ルイジアナ州)でした。
リープ・フロッググループのCEOであるLeah Binderさんは、「PXは、より良い医療を提供しなければスコアを上げるのは非常に難しい。予防可能な感染症が減少したことも喜ばしいことです。このようなポジティブな傾向を見ると、救われた命が見えてきます」などとコメントしています。
全文は下記リンクからご一読ください。
2. 日本医療マネジメント学会・医療コーチング体験会のご案内
日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の代表理事の曽我香織さんが運営する、コーチング会社・株式会社スーペリアでは、6月21〜22日に福岡市で開催の「第26回日本医療マネジメント学会学術総会」で、ランチョンセミナーを企画しています。テーマは、「『医師の働き方改革』を考えるーPX/EX の視点で働き方改革をデザインするー」です。ランチョンセミナーは、6月5日まで事前予約を受け付け中です。
今年4月から医師の働き方改革がスタートしましたが、人口減少と高齢化、キャリアや手当などの支援の遅れから医療・福祉業界では人材不足となっており、タスクシフトや持続可能な医療の実現が進んでいないのが現状です。
曽我さんは、「これらの解決策の1つとして、PXとEX(Employee eXperience;従業員経験価値)の視点から、患者エンゲージメントおよび働くことに関するエンゲージメントを高めることが挙げられます。特に、医療従事者のキャリア支援を意識した働き方改革をデザインすることが重要となります。多職種の医療チームがタスクシフトによってやりがいをもって働くには、教育・権限委譲、コーチングや患者協働が不可欠とされています」と指摘しています。
今回のランチョンセミナーでは、国内の好事例を示しつつ、医療従事者のEXやワークエンゲージメントを高める働き方改革の実現について話し合います。詳細は以下になります。
第26回日本医療マネジメント学会学術総会 ランチョンセミナー28
日時:2024年6月22日12:25~13:15
会場:N 会場(福岡サンパレス 平安 +【中継】末広)
座長:東海大学医学部 血液・腫瘍内科客員教授 安藤 潔
講演:都立広尾病院 病院総合診療科 小坂 鎮太郎
申し込みは、以下のリンクから可能です。また、PX研究会のメンバーがPXに関する演題発表を行います。多くの方の来場をお待ちしています!
LINK;https://www.congre.co.jp/jhm2024/registration/index.html
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スーペリアでは、医療従事者を対象とした「働きやすい職場づくりのための実践的医療コーチング体験会」を企画しました。チーム医療やPXに関してはもちろん、医療現場でコーチングが求められている背景などもお話しします。ご関心のある方は、ぜひご参加ください。
日時:2024年6月15日13:00~15:00(12:45頃より入室可能)
講師:安藤 潔(東海大学医学部血液・腫瘍内科客員教授)
開催形式:オンライン(Zoom)
対象:病院、クリニックにお勤めの医療従事者 ※管理者を想定した内容となります
参加費:無料 ※参加枠に限りがあります。スーペリアよりお送りする受付完了メールをもって参加とさせていただきます
申し込みは下記リンクからお願いいたします。
Link:https://forms.office.com/r/UyRxJ3yfVw
3. 今後の予定
2024年度のPXE6期生の募集を開始しました。全5回で、PX概論からペイシェントジャーニーマップの作成、PXに欠かせないコミュニケーションなどを学ぶことができます。PXE同期、卒業生とのネットワークにより、PX実践につながる交流も図れます。
医療者だけでなく企業勤務の方も受講可能です。申し込みは下記リンクからお願いします。https://www.pxj.or.jp/pxe6/
※6期からはPX研究会編著の書籍『ペイシェント・エクスペリエンスー日本の医療を変え、質を高める最新メソッド』(三輪書店)をテキストとして使用しますので、受講生の方は下記から各自でご購入をお願いします。
三輪書店オンラインショップhttps://shop.miwapubl.com/products/detail/2713
Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4895908062?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_TQ04SWYRV6624N0S4X4K
※全国の書店でも購入できます。
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今年もEX講座を開講します。EXの定義、PXとの関連性、EXを高める上でどのような視点が重要なのか、どのような取り組みができるかを初学者向けにまとめた内容となります。5月25日、6月1日の全2回のオンライン開催となります。詳細および申し込みは下記リンクからお願いします。
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
GW前から心身の不調で、メルマガの更新ができずに申し訳ありませんでした。もう梅雨が近づいていますが、青い空と新緑の美しい季節を楽しみたいです!(F)