日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.281

1.クリーブランドクリニックのコミュニケーションプログラム
2.医療従事者向けキャリアコーチング
3.今後の予定

1.クリーブランドクリニックのコミュニケーションプログラム


当メールマガジンで何度も紹介しているのが、米国オハイオ州のクリーブランドクリニックです。PX(Patient eXperience;患者経験価値)向上を戦略的目標に掲げ、米国の病院で初のPXを推進する部門をつくっています。Newsweek誌の「2023年ベスト病院」の第2位に選ばれています。

PS(Patient Satisfaction;患者満足度)を引き上げるための革新的なプログラムの開発を行っており、クリーブランドの各医療機関で患者のサポートを行っている7万人を対象に、PXに関する実践的なトレーニングを昨年実施し、PX向上に大きな成果をもたらすことがわかりました。PX担当のシニアディレクターの Stephanie Bayerさんは、「最高の体験は、臨床医と患者との間の優れたコミュニケーションから始まる」と話しています。

コミュニケーション向上のプログラムが「Communicate with H.E.A.R.T.®」です。日常会話で個人的なタッチを使用して、他の人と有意義につながるための重要な要素を覚える「S.T.A.R.T. with Heart ®」と、スタッフがサービス現場で懸念事項に対し、一貫して思いやりをもって対処できるように支援するための手順である「Respond with H.E.A.R.T.®」の2つのメソッドで構成されています。

S.T.A.R.T.は、「笑顔で温かく挨拶する」「自分の名前、役割、期待を伝える」「積極的な傾聴と援助」「ラポールと関係構築」「相手に感謝する 」の5つの行動ステップです。Respondは、「聞く」「共感する」「謝罪する」「対応する」「感謝する」の順番で対応します。

同プログラムは、持続可能かつ科学的根拠に基づいたトレーニングによって、コミュニケーション方法を標準化します。これにより、医療提供者、看護師、臨床医、管理者など、患者の生活にかかわるすべての人が、患者や家族だけでなく同僚に対しても優れたサービスを提供できるようになります。スタッフは、ポジティブなPXを生み出すうえでの自分の役割が、自分の仕事に関連するタスクよりも大きいことを理解するようになります。

このプログラムはクリーブランドクリニック以外のすべての病院で利用が可能で、プログラムの一環としてHEART Chatsというラーニングモジュールを提供しています。このモジュールでは、「病院が混雑しているとき、または患者の治療が遅れている可能性がある場合に、患者にどのような言葉をかけるべきか」といった実践的なトピックが含まれています。

「Becker’s HOSPITAL REVIEW」の関連記事と、Communicate with H.E.A.R.T.®に関する詳細は下記リンクでご確認ください。

Link: https://www-beckershospitalreview-com.translate.goog/patient-experience/how-cleveland-clinics-pours-its-heart-into-patient-experience.html?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

Link: https://my.clevelandclinic.org/departments/patient-experience/depts/experience-partners

2. 医療従事者向けキャリアコーチング


日本PX研究会代表理事の曽我香織さんがこのほど、患者中心医療を実現したい医療従事者専門の転職支援サービス「myPeconキャリア」を開始しました。

チーム医療を実現し、患者本位の病院をつくるための情報提供や、志ある医療従事者とつながる場としてつくったものです。「医療従事者の自己実現と幸せにしか興味がないキャリアコーチがサポートします。キャリアはもちろん、人生や自分にとっての幸せについて、一緒に振り返ってみませんか?」と曽我さん。初回は無料でキャリアコーチングを提供しています。PX研究会会員の方は転職を検討していない場合でも無料でコーチングを受けることができますので、興味がある方はぜひエントリーしてみてください。

myPeconキャリア

Link:https://career.mypecon.com/

申し込みは下記からお願いいします!

Link:https://career.mypecon.com/medical/registration/

※面談枠に限りがありますので、先着制となります。その旨ご容赦ください。

※当サイトを知ったきっかけ欄に「PX研究会メルマガより」と記載ください。

3. 今後の予定


第14回「PX寺子屋」開催

日本PX研究会が設立以来続けている、PXを学ぶイベントです。オンライン開催となって14回目の「PX寺子屋」を今週末、3月9日(土)に開催します。PXの基本を学べる概論は、毎回違う講師がさまざまな視点からPXを語りますが、今回は日建設計の島崎寛さんです。病院の設計を行っている視点から、PXを語っていただけるのではないかと期待しています。トピックは、来月4月からスタートする医師の働き方改革とPXとの関連について、研究会理事の安藤潔さんから話題提供します。

PX研究会会員は無料、非会員は1000円となります。下記リンクから申し込みください。

時間:12:30~13:30

PX概論          島崎寛 日建設計

「医師の働き方改革とPX」 安藤潔 東海大学医学部血液・腫瘍内科客員教授

https://www.pxj.or.jp/events/

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2024年度のPXE6期生の募集を開始しました。全5回で、PX概論からペイシェントジャーニーマップの作成、PXに欠かせないコミュニケーションなどを学ぶことができます。PXE同期、卒業生とのネットワークにより、PX実践につながる交流も図れます。

医療者だけでなく企業勤務の方も受講可能です。申し込みは下記リンクからお願いします。https://www.pxj.or.jp/pxe6/

※6期からはPX研究会編著の書籍『ペイシェント・エクスペリエンスー日本の医療を変え、質を高める最新メソッド』(三輪書店)をテキストとして使用しますので、受講生の方は下記から各自でご購入をお願いします。

三輪書店オンラインショップhttps://shop.miwapubl.com/products/detail/2713 

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4895908062?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_TQ04SWYRV6624N0S4X4K 

※全国の書店でも購入できます。

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


朝履いたら帰宅まで脱げないロングブーツを買いました笑。手術の後遺症で左脚の浮腫があり、朝と晩で5センチぐらいふくらはぎ周りが太くなります。不便ですが、一生履けないと思っていたので、願いを叶えることができた!と満足しています。(F)