1.ピッカー研究所のヒト中心のケア
2.生保系シンクタンクのトレンド解説にPX
3.今後の予定
1.ピッカー研究所のヒト中心のケア
イギリスのNHS(National Health Service;国民保健サービス)がPXサーベイや分析を業務委託しているpicker研究所は、パーソン・センタード・ケア(ヒト中心のケア)を定義づけし、8つの原則を打ち出しています。
パーソン・センタード・アプローチとは、ケア、サポート、イネーブルメント(手を差し伸べることで、頑張ろうとしている人を頑張れるようにしてあげる取り組み)を含めた、医療・社会サービスの中心に人々を据えるものです。利用者を個人として認識し、ケアにおいて積極的な役割を果たすことが奨励され、利用者のニーズや嗜好が理解、尊重されるアプローチです。
質の高いパーソン・センタード・ケアには、肯定的な治療関係が不可欠であるため、患者だけでなく医療・介護スタッフの経験も含まれます。ケアスタッフは、やりがいのある充実した役割を持ち、自らのウェルビーイングをサポートし、最高水準のケアを提供できる環境で働く資格があります。
ピッカーは設立以来、パーソン・センタード・ケアの理念の普及に努めてきており、患者と家族、スタッフとの独自の調査に基づいて「パーソン・センタード・ケアのピッカー原則」を開発しました。多くの人々にとって何が最も重要で、何が質の高いパーソン・センタード・ケアであるかを理解するための枠組みを定めたものです。
原則は以下の8つで、患者や利用者のパスウェイを通じたケアのあらゆる側面に対応しています。
1.信頼できる医療アドバイスに迅速にアクセス
2.信頼できる専門家による効果的な治療
3.ケアの継続とスムーズな移行
4.家族や介護者の参加とサポート
5.明確な情報、コミュニケーション、セルフケアのサポート
6.意思決定の関与と好みの尊重
7.感情的なサポート、共感、敬意
8.身体的および環境的ニーズへの配慮
この8つのアプローチは、望ましいケアモデルとして広く認識されています。ケア提供者やケアシステムが、自分たちの提供するケアがヒト中心であるかどうか、またどの程度そうなのかを理解するためには、サービスを受けている人々に彼らの経験を尋ねることが不可欠です。ピッカー研究所では、この原則を考慮した、人々の経験を測る尺度の開発と使用を続けており、エビデンスを収集することでよりよい政策や実践に影響を与えることができるとしています。
全文および8つの原則の詳細は、下記リンクからご確認ください。
Link: https://picker.org/who-we-are/the-picker-principles-of-person-centred-care/
2. 生保系シンクタンクのトレンド解説にPX
第一生命経済研究所のwebサイトにこのほど、「1分でわかるトレンド解説」としてPX(Patient eXperience;患者経験価値)が取りあげられています。
PXの定義のほか、一例としてOECD(経済協力開発機構)のPX指標の1つである「患者の尊厳の保持」について、各国の調査結果が比較されています。医師から礼儀正しく敬意を持って扱われたと感じた精神疾患を有する入院患者の割合は、ポルトガルが100%に対し、一番低いニュージーランドは49%。日本は58%と、二番目に低くなっています。
ちなみにOECDでは加盟する38カ国を対象に、慢性疾患におけるアウトカムおよび経験についての国際調査を実施。PXを測定する調査(PREMS)では、患者が医療をどのように経験しているかを測定し、ケアの調整、待ち時間、医療提供者と患者のコミュニケーションなどのケアの実際的な側面を示しています。Patient-Reported Indicators Surveys ( PaRIS) という国際的サーベイは2023年までの計画となっていますので、結果などがわかれば当メールマガジンで紹介したいと思います。
Link:https://www.dlri.co.jp/report/ld/316556.html
Link:https://www.oecd.org/health/paris/
3. 今後の予定
第14回「PX寺子屋」開催
日本PX研究会が設立以来続けている、PXを学ぶイベントです。オンライン開催となって14回目の「PX寺子屋」を3月9日(土)に開催します。PXの基本を学べる概論は、毎回違う講師がさまざまな視点からPXを語ります。PX研究会会員は無料、非会員は1000円となります。
※トピックは内容変更となりました。決まり次第、ホームぺージやメルマガなどに掲載します。
時間:12:30~13:30
PX概論 島崎寛 日建設計
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2024年度のPXE6期生の募集を開始しました。全5回で、PX概論からペイシェントジャーニーマップの作成、PXに欠かせないコミュニケーションなどを学ぶことができます。PXE同期、卒業生とのネットワークにより、PX実践につながる交流も図れます。
医療者だけでなく企業勤務の方も受講可能です。申し込みは下記リンクからお願いします。https://www.pxj.or.jp/pxe6/
※6期からはPX研究会編著の書籍『ペイシェント・エクスペリエンスー日本の医療を変え、質を高める最新メソッド』(三輪書店)をテキストとして使用しますので、受講生の方は下記から各自でご購入をお願いします。
三輪書店オンラインショップhttps://shop.miwapubl.com/products/detail/2713
Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4895908062?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_TQ04SWYRV6624N0S4X4K
※全国の書店でも購入できます。
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
近所に女性シェフとスタッフが切り盛りしているフレンチのお店があります。看板犬が本当にかわいくて、いつか犬も飼いたいなぁと思っています。(F)