1.テクノロジー活用とPX向上
2.EXとPXを向上させるアプローチ
3.今後の予定
※配信が遅れましたことお詫び申し上げます
1.テクノロジー活用とPX向上
米国ニューヨークにあるマウントサイナイ・ヘルスシステムは2024年、ケアの合理化を図り、PX(patient eXperience;患者経験価値)を向上させるために、新たなテクノロジーの導入を検討しているといいます。米国メディアプラットフォームであるBecker’s Healthcareが発行する「Becker’s HOSPITAL REVIEW」に掲載されている、医療の質および規制担当の副社長であるLeWanza Harrisさんのインタビューの抜粋です。
LeWanzaさんは着任以来、いかにして適切なインフラを構築し、患者のために医療の質を高め、安全を確保するかということに注力してきました。そのためには、システム部門に関連する適切なインフラを整えることが必要でした。組織全体で重要な利害関係者の1人に医師がいます。そのため、臨床部門の品質インフラを医療システムの品質インフラにどのように統合するかを検討しています。これがより良い連携につながり、その結果、説明責任を共有し、能力を高め、取り組みを持続させることにつながると信じています。
いかにテクノロジーを活用してPXを向上させるかということの1つに、病院再入院削減プログラムがあります。私たちの大きなイニシアチブのひとつは、うっ血性心不全、肺炎、急性心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患など、優先的に取り組むべき疾患とどのように連携し、弱い立場の人々が不必要に病院に戻ってこないようにするかということです。機械学習とアルゴリズムを活用して、これらの患者を正確に特定し、看護師が質問に答えられるようにするために必要な情報(ケアの移行)を提供して、再入院率を下げる方法を検討しています。
ヘルスケア分野の最大のトレンドとして、人工知能(AI)とテクノロジーを使用して問題を解決する方法を挙げています。AIとテクノロジーは実際に改善を推進できるとし、コスト削減だけでなくテーブルの上に残しているかもしれない経済的チャンスを最適化し、提供するケアの提供効率を最適化するのに役立つとしています。
もう1つは、公平性と質をいかに高めるかということです。質、公平性、コスト、そしてPXには相互関係があります。そのためデータから見える差異や格差についての理解を深める戦略を開発し続けなければなりません。そうすることで革新的な解決策を開発し、その解決を試みることができます。
そのほか、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック後、医療システムを円滑に機能させるには、他人を癒す前に、自分自身を癒すことができるようにしなければならない」と指摘。マウントサイナイのすべての教職員、研修生、医学生、大学院生が利用できる「Center for Stress, Resilience and Personal Growth」を設立し、ワークショップ、行動的健康学による治療、アプリなど、回復を促進するように設計されたサービスを提供しています。
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2. EXとPXを向上させるアプローチ
米国オレゴン州のハートフォード・ヘルスケア・セントビンセント・メディカルセンターのHX(Human eXperience)チームは2023年から 、患者と従業員のエクスペリエンスを高めるためのG2G(「Good(よいもの)」から「Great(素晴らしいもの)」へ)という新たな取り組みを始めました。パイロット病棟では、多職種チームによって、次のようなことが行われました。
・患者の持ち物、医療従事者用の椅子、治療器具などが置かれた「完璧な部屋」
・ベッドサイドの看護師、医療従事者、患者を含む「三者ラウンド」
・患者がメディカルセンター内を移動する際の温かいハンドオフ
・部屋を出る前にすべての患者に必要なものがないか尋ねる「ループを閉じる」プロセス
・ケアチーム、病院、当院のサービスについて肯定的なコメントをする「マネージングアップ」
・「非難されない謝罪」の仕方に関する教育
・同僚のウェルネスに焦点を当てたハドル用ボードドライバーの採用
入院病棟のPXと同僚エンゲージメントデータの分析から開始。顧客のロイヤルティを測定するNPS(Net Promoter Score)と、チームおよびリーダーのエンゲージメント指標と組み合わせて分析することで、入院患者チームを低業績、中業績、高業績の3つのユニットに分類しました。高業績チームでは、ベストプラクティスの維持と強化に重点が置かれ、低業績チームでは、チームビルディング、業務効率化、リーダーの可視化など、機能停止に対処するためのサポートが必要となります。良好なエンゲージメント指標と変革への準備態勢を持つ中業績チームは、経験を「良いもの」から「素晴らしいもの」へと移行させるためのビジョンとコミットメントを共有した、学際的なチームアプローチからベネフィットを得ることができます。
パイロット病棟で小さな改善を実行するための多職種チームは、臨床および非臨床のスタッフ、医療提供者、リーダーで構成されています。3日間の取り組みで改善が行われた後、チームは引き続きミーティングを行い、取り組みを定着させるための標準業務に発展させました。パイロット病棟では、23年度のNPSの目標を上回り、改善後の6カ月間で、開始月のベースラインから10ポイント以上スコアが上がりました。このユニットでは、「スタッフ間の連携」も8ポイント以上改善しています。
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3. 今後の予定
※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
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2024年度のPXE6期生の募集を開始しました。全5回で、PX概論からペイシェントジャーニーマップの作成、PXに欠かせないコミュニケーションなどを学ぶことができます。PXE同期、卒業生とのネットワークにより、PX実践につながる交流も図れます。
医療者だけでなく企業勤務の方も受講可能です。申し込みは下記リンクからお願いします。https://www.pxj.or.jp/pxe6/
※6期からはPX研究会編著の書籍『ペイシェント・エクスペリエンスー日本の医療を変え、質を高める最新メソッド』(三輪書店)をテキストとして使用しますので、受講生の方は下記から各自でご購入をお願いします。
三輪書店オンラインショップhttps://shop.miwapubl.com/products/detail/2713
Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4895908062?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_TQ04SWYRV6624N0S4X4K
※全国の書店でも購入できます。
編集部から
友人やコーチの影響でK-POPを掘り下げていたら、すごくいいアルバムを見つけました。某アイドルグループのボーカルが作詞作曲をしていて、才能にあふれているなぁと思いました。しかし2017年に亡くなっていて、自分には才能がないと思って自死を選んだとのこと。音楽は人を救うと思っていますが、こんなに素敵な曲を作れる人は救われなかったのか、と愕然としました。(F)