1.最近5年間の医療従事者のメンタルヘルス
2.コミュニケーション上手になる3ステップ
3.今後の予定
1.最近5年間の医療従事者のメンタルヘルス
米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention;疾病予防管理センター)はこのほど、医療従事者のワークライフの質調査の結果を公表しました。2018~2022年の5年間の調査では、医療従事者の燃え尽き症候群は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以前から危機的レベルであったが、パンデミックはその状況をさらに悪化させ、2022年も引き続きメンタルヘルスの危機に直面しているとしています。
調査は、GSS(General Social Survey;総合的社会調査)の労働の質モジュールのデータ分析により、2018年(回答者1443人、うち医療従事者226人)と2022年(回答者1952人、うち医療従事者325人)の成人労働者におけるメンタルヘルス症状を比較しました。ロジスティック回帰を用いて、医療従事者が報告した労働条件の認識と、不安、抑うつ、バーンアウトとの関連を検討したものです。
2018年から2022年にかけて、医療従事者は過去30日間にメンタルヘルスの不調を訴えた日数が3.3日から4.5日に増え、燃え尽きを感じることが非常に多いと報告した割合も11.6%から19.0%へと増加。2022年には45.6%の医療従事者が、「燃え尽きを感じることがよくある」または「非常によくある」と報告しました。「非常に幸福を感じている」と報告した医療従事者の割合は、2018年から2022年にかけて大きな変化はありませんでしたが、その他の労働者全体ではその割合が低下しています。
また、2018年から2022年にかけて、「別の雇用主のもとで新しい仕事を探す可能性が非常に高い」と回答した医療従事者の割合は、11.1%から16.5%に増加。医療従事者の44.2%が、2022年に新しい仕事を探す可能性がやや高い、または非常に高いと回答しています。さらに、「職場で嫌がらせを受けた」という医療従事者の報告は、2018年の6.4%から2022年には13.4%と2倍以上に増加しました。2018年から2022年にかけて、「スタッフが十分でないことが多い」と報告した医療従事者は25.7%から32.0%へと増えています。2022年の医療従事者のプレゼンティズム(何らかの疾病や症状を抱えながらも出勤し、その結果仕事の生産性が下がること)の割合は27.9%で、その他のエッセンシャルワーカーの43.2%よりも低くなっています。
CDCのNational Institute for Occupational Safety and Healthでは、医療従事者のメンタルヘルスを改善するためのリソースを医療従事者の雇用者に提供するため、全国的なキャンペーンであるImpact Well-beingを展開しています。
より詳細な調査結果は、下記リンクからご確認ください。
Link:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/wr/mm7244e1.htm?s_cid=mm7244e1_w
2. コミュニケーション上手になる3ステップ
PX(Patient eXperience;患者経験価値)向上に欠かせないコミュニケーション。医療現場における患者との明瞭かつ効果的なコミュニケーションは、シンプルな3ステップの実践で可能です。臨床パフォーマンス改善のコンサルタントである、Debbie Youngさんの寄稿を紹介します。
ステップ1. 認識し、自己紹介する
患者にエンゲージメントの準備ができているかを尋ね、確認する。患者の好きな呼び方で挨拶をします。患者への敬意を示し、治療に遅れを生じさせず、安心させることができるからです。患者やその家族、介護者と個人的なつながりができます。
ステップ2. ケアを説明する
簡単な言葉を使い、何をするのか、どのくらい時間がかかるのかを共有し、患者が理解しているかを確認します。ケアプロセスを医療用語以外で説明することで、患者はケアプランを理解し、参加できます。それは、どの患者に対しても、常に卓越したケアを提供するというコミットメントを示すことになります。患者の理解を確認することで、患者のケアに関連するステップや情報を繰り返し要求することを最小限に抑えることができます。
ステップ3. 患者との面会の完了と管理のパーソナライズ
帰る前に、提供されたケアについて質問がないかを患者に尋ねます。次のステップについて、関係者や患者が期待できることなどを説明します。患者とのつながりを持つことは、患者のエクスペリエンスに対する敬意とコミットメントを示すことになります。次のステップに対する患者の期待を管理することで、患者のケアと快適さに対する信頼とコミットメントが構築されます。
この3つの簡単なステップに従うことで、より良いコミュニケーターになることができるといいます。患者やその家族は、彼らが理解しやすい方法でコミュニケーションを図ってくれることに感謝するでしょう。患者が好む呼び方を使い、患者との面会をパーソナライズすることで、信頼と忠誠心を築くつながりが育まれます。また、患者からのフィードバックに耳を傾けることは、患者を尊厳と尊敬に値する人間として見ていることを示すことになります。
3. 今後の予定
PX研究会は12月9日、第6回PXフォーラム 「選ばれる医療機関の条件~EX~」をオンラインにて開催します。今年のテーマは「EX(Employee eXperience;従業員経験価値)」です。詳細および申し込みは、下記リンクからお願いします。
https://www.pxj.or.jp/pxforum2023/
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11月18日12:30‐13:30、オンライン勉強会「第13回PX寺子屋」を開催します。
・「PX概論」 幌西歯科医院 院長 濱田 浩美
・ゲスト講師(テーマ等は決まり次第ホームページにUPします)
研究会会員は無料、非会員は1000円です。申し込みは下記リンクからお願いします!
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
今週末はハロウィーンですね。子どものころは仮装してお菓子をもらいに行くのが楽しみでした。よい週末をお過ごしください!(F)