1.PX関連のグローバル調査
2.第4回PXE養成講座を開催
3.今後の予定
1.PX関連のグローバル調査
経営コンサルティング会社のアクセンチュアが世界14カ国、約1万2000人を対象に実施した「2021年 ヘルス&ライフサイエンス グローバル・エクスペリエンス調査」では、ヘルスケアでのすぐれたエクスペリエンス、PX(Patient eXperience;患者経験価値)が明らかになったといいます。
トピックの一つとして、年齢によって感情的なサポート、デジタル技術の採用、信頼、アクセスなど、優れた医療提供の構成要素に対する期待は異なることがわかっています。
■感情的サポート
ベッドサイド・マナーは、医療的アドバイスや治療以上のものを医療従事者に求める患者にとって、長い間、合言葉のようになってきました。調査では、感情的なサポートと明確な医療情報を、共感とともに提供することが“必勝パターン”であることが確認されました。医療従事者は、医療アドバイスや治療、急性期全般のニーズにおいて、依然として最も頼りにされています。
調査対象国では、世代によって重視するポイントが異なります。ミレニアル世代や若年層は、革新的なデジタル技術や他の情報源からの情報を利用する医療提供者に寛容であるのに対し、X世代(1965~1980年生まれ)以上の人々にとって素晴らしいPXとは、医療提供者からの明確な説明やアドバイスに、より依存しているようです。
■デジタルの採用
デジタル技術が、患者にとってより簡単で便利な医療を実現し、対面での医療が受けられない場合や受けられない場合のアクセスを改善することで、素晴らしいエクスペリエンスをサポートする機会が増えていることを発見しました。医療機関やバイオファーマ企業は、この現実を念頭に投資することで、患者の選択肢を増やし、医療提供者の柔軟性を高めることで利便性を実現するデジタルサービスやツールを構築できます。
人々が健康管理にデジタル技術を利用する可能性が高い理由のトップ3は次の通りです。
・自分の健康状態について、より良い情報や提案を受け取ることができる
・データの安全性とプライバシー保護への高い信頼
・どのようなデジタル・オプションが利用可能か。デバイス/ソフトウェアやアプリが安価である
ミレニアル世代と若年層は、デジタル技術の利用に関して、品質、コスト、友人や家族からの勧めによって影響を受ける傾向がそれ以上の世代よりも強くなっています。
■信頼
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによるバーチャルケアの増加により、人々の健康データの価値に対する意識が高まり、その同意と安全かつ適切な利用の必要性が高まっています。医療提供者は、個人のデジタル・ヘルスケア情報の安全性に関して、自治体や保険会社、テクノロジー企業よりも信頼されています。
■アクセス
パンデミックの結果、世界中の医療エコシステムは、私たちが想像もしなかったような形で試されました。全体として、医療エコシステムは回復力を示し、大多数の人々がパンデミック前と同じか、それ以上にアクセスしやすくなりました。
医療制度はより患者中心主義に向かっていて、バイオファーマは患者のニーズ、嗜好、価値観に総合的かつ持続的に対応するために、患者エンゲージメントのプロセスを変革することによって、医療アクセスの公平性を高めることができます。アクセスの公平性が高まるということは、より多くの人々が健康診断のような予防医療の恩恵を受けられるということでもあります。このような医療サービスには高い費用がかかると思われているため、多くの人が定期的な健康診断やスクリーニングを受けておらず、長期的には病気の未発見につながる可能性があります。
このグローバル調査では、人間中心で個別化された医療の必要性が確認されました。言い換えると、精神的サポートの必要性、アクセスのしやすさ、患者の信頼の必要性、すべての人に対する公平なケアを考慮することです。ある意味、ベッドサイドでの適切なマナーの必要性は、ベッドサイドを超えて、ケアにおけるテクノロジーの使用や、ケアをさまざまな年齢層や人口統計に拡大する必要性などの側面まで広がっていると言えるでしょう。ポジティブな健康体験、PXにとって最も重要な4つの要素は次になります。
・医療提供者からの共感と、よく調整されたケアの組み合わせ
・物流はすべてテクノロジーの基盤の上に構築されており、その導入は患者の信頼によって促進される
・デジタルソリューションへの投資は、エビデンスに裏付けられ、臨床医コミュニティによってサポートされ、継続的に測定する必要がある
・ポジティブな経験がビジネスの持続可能性に影響を与えるという認識
レポートの全文は下記リンクからお読みください。
2. 第4回PXE養成講座を開催
日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会は10月7日、今期4回目となるPXE養成講座を開催しました。全5回の講座もいよいよ終盤、今回はメインとも言える「ペイシェント・ジャーニーマップ」を作成しました。
PXE(Patient eXperience Expert)は、医療機関や職場でPXの推進役となる人材です。過去3回の講座ではPXとPS(Patient Satisfaction;患者満足度)との違いや、PXの指標を測るサーベイおよび結果を受けた改善活動について取り上げました。
ペイシェント・ジャーニーマップは、患者の行動や状態、その時の感情を詳細に把握するためのツールです。患者視点で医療やサービスを眺めることで、普段気づかない改善点を見つけることができるフレームワークの1つであり、エクスペリエンスや顧客ロイヤルティの創出につながるとされています。
今回は、研究会の運営メンバーで医師の松本卓さんが講師を務めました。「ジャーニーマップを作る過程で、患者視点で医療サービスを眺めることができます」と話し、ニーズのミスマッチ解消や多職種によるチーム医療にも活かすことができるなどと説明しました。
ジャーニーマップはオンライン上で、グループに分かれて作成しました。あらかじめ設定した対象となる患者像(ペルソナ)をもとに、入院から退院までの患者や家族の行動を分類。その過程での感情の変化を洗い出したうえで、課題・改善ポイントを検討していきました。
早いもので次回、11月18日が第5期の最後の講座となります。
3. 今後の予定
PX研究会は12月9日、第6回PXフォーラム 「選ばれる医療機関の条件~EX~」をオンラインにて開催します。今年のテーマは「EX(Employee eXperience;従業員経験価値)」です。詳細および申し込みは、下記リンクからお願いします。
https://www.pxj.or.jp/pxforum2023/
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11月18日12:30‐13:30、オンライン勉強会「第13回PX寺子屋」を開催します。
・「PX概論」 幌西歯科医院 院長 濱田 浩美
・ゲスト講師(テーマ等は決まり次第ホームページにUPします)
研究会会員は無料、非会員は1000円です。申し込みは下記リンクからお願いします!
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
9と3/4番ホームから、魔法魔術学校行きの列車に乗るところです!(F)