1.PXと患者の健康アウトカムとの関連
2.患者と家族への環境配慮
3.今後の予定
1.PXと患者の健康アウトカムとの関連
PX(Patient eXperience;患者経験価値)が患者の健康アウトカムにどう影響するのか? 120カ国、6万5000以上のシステムでカスタマー・ジャーニーを管理するQmaticの投稿記事を紹介します。
より少ないリソースで、より多くの患者を扱っている病院においても、適切なシステムが導入されていれば効率や評判を高め、収益を向上させながら、患者の全体的な健康成果を向上させることができます。病院管理者がPXを向上させるために必要な投資を正当化するための議論の材料としては、次のようなものがあります。
- AHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality;米国医療研究・品質調査機構)によると、患者が報告したHCAHPSスコアが5段階スケールで、1段階下がるごとに、医療過誤訴訟の可能性は21.7%上昇しました。
- 患者が前向きな体験をすると、特にSNSやレビュー サイトで他の人に情報を伝えるようになります。これらの肯定的なレビューは、潜在的な患者に対するマーケティング活動となります。
- ある報告書では、患者のロイヤルティが 10% 増加すると、病院の収益が 2200 万ドルを超える可能性があると指摘しています。
- 患者の流れを効率的に管理することは、内部リソースが適切に活用されていることを意味します。より強力なPXは、最終的にはより豊かなEX(Employee eXperience;従業員経験価値)を生み出します。
そして、実際に患者の健康状態の改善につながる可能性があるということです。幸せな患者は、最終的にはより健康な患者となります。患者がその経験に満足すると、医師のアドバイスに長期的に従う可能性が高くなります。 AHRQによると、医療従事者とポジティブなかかわりを持つ糖尿病患者はより高い自己管理スキルを示し、心臓発作で入院した際にポジティブな経験をした患者は、退院後1年でより前向きな結果が出たことが示されています。患者と医療提供者のコミュニケーションがより良くなり、患者は適切な結果を得るために医療提供者と協力することになります。
ヘルスケア市場での競争が激化し、患者が自分のケアにもっと関与するようになるにつれ、PXの質が健康成果と医療提供者の収益に直接影響を与える可能性があります。2021年のコンサルティングファームの調査では、 67% が医療提供者、薬局、または病院での否定的な経験を報告しました。そしてその主な原因として、医療関連施設への訪問が効率的ではなかったと答えています。 これらの否定的な経験は、患者と医療従事者の両方に次のような影響を与えました。
- 回答者の 1/3 が医療機関を切り替えました。
- 回答者の1/3 は、次に医療が必要になったときに医療を受ける可能性が低くなりました。
では、何がポジティブな経験をもたらすのでしょうか。効率的でよく調整されたケア、サポート、コミュニケーション。医療に対して患者中心のアプローチをとることは、患者と医療提供者の双方にとって有利になります。
患者をより健康で幸せにするための最善の処方箋は、病院が患者の信頼を得られるPXを提供することに重点を置くことです。
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2. 患者と家族への環境配慮
医療機関が、患者とその家族が素晴らしい経験を提供するために配慮すべき4つとは? 米国のPX推進団体、The Beryl Instituteへの投稿記事に、その答えが書かれています。
患者と家族が医療機関を訪れる際に、信頼関係を築き、安心感を与えることは、素晴らしい体験を生み出すうえで大きな意味を持ちます。スタッフの温かい歓迎の態度と笑顔は、重要な要素です。床が汚れていたり、ゴミ箱があふれていたりすると、医師や看護師に会う前から疑心暗鬼になってしまいます。考慮すべき点として、次のようなものがあります。
1.患者や家族が玄関に入る前に印象は決まる
駐車場や車庫が荒れているだけでも注目されます。来院者が入り口を見つけやすいように看板を設置するなど、駐車場の係員やインフォメーションデスクのスタッフは、来院者を温かく迎え入れる訓練を受けるべきです。
2.ホスピタリティは臨床チームだけにとどまらない
来訪者は、医療従事者に会う前に、多くの人々に出会うかもしれない。ハウスキーピングやメンテナンスの担当者は、清潔な服装、適切なバッジを身につけ、ゲストを温かく迎える方法を知っていなければなりません。最初の印象は、看護師や医師が患者に会う前に形成されます。また、来院前にすべてがうまくいっていることを確認することが最も有益です。
3.環境は五感に配慮する必要がある
目に見えるものについては多くの議論があります。ポジティブなメッセージ、自然な照明、生きた植物は、暖かさと思いやりの感情を生み出すことができます。柔らかな音楽は、人々に安らぎを与えます。匂いは時に見過ごされてしまい、素晴らしい経験への危険信号を発することがあります。施設にふさわしい香りを選ぶことは、不安を和らげるのに役立つ低コストの投資となります。
4.PFACにフィードバックを求める
患者や家族のアドバイザーに施設を見学してもらう時間を設けます。標識の正確さを確認してもらいます。汚れた床や修理や塗装が必要と思われる場所の写真を撮りましょう。スタッフはおそらく彼らを知らないでしょうから、道を尋ねたり、スタッフが親切で歓迎していたかどうかを共有することができます。病院のリーダーに提供するために、PFAC(Patient and Family Advisory Council;患者・家族諮問委員会)が環境やホスピタリティに関する、発見したことのリストを作成します。
全文は下記リンクにあります。
3. 今後の予定
PX研究会は12月9日、第6回PXフォーラム 「選ばれる医療機関の条件~EX~」をオンラインにて開催します。今年のテーマは「EX(Employee eXperience;従業員経験価値)」です。詳細および申し込みは、下記リンクからお願いします。
https://www.pxj.or.jp/pxforum2023/
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11月18日12:30‐13:30、オンライン勉強会「第13回PX寺子屋」を開催します。
・「PX概論」 幌西歯科医院 院長 濱田 浩美
・ゲスト講師(テーマ等は決まり次第ホームページにUPします)
研究会会員は無料、非会員は1000円です。申し込みは下記リンクからお願いします!
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
ようやく秋を感じられる季候となりました。夏を懐かしみつつ、食欲の秋を楽しみたいと思います。(F)