日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.243

1.英国のGPはEXが低い?
2.ボランティア・ウィーク
3.今後の予定

*配信が遅くなりましたことお詫び申し上げます

1.英国のGPはEXが低い?


英国のGP(General Practitioner)は、他の高所得国9カ国のプライマリ・ケア医と比較して、ストレスが最も高く、仕事への満足度が最も低いことが英国のNPO法人・健康財団によるコモンウェルス基金のデータの新たな分析で明らかになりました。

2023年3月に公表された報告書は、10カ国のプライマリケア医を対象に、労働生活、患者ケア、サービス提供、他のサービスとの関係についての調査をまとめたものです。調査対象となる国は、英国のほかオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、スウェーデン、スイス、米国です。対象となったのは9526人のプライマリ・ケア医で、英国の1010人が含まれます。

すべての国のプライマリケア医の大多数が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以前よりも高い仕事量に対処しており、多くがより大きなストレスと精神的苦痛の兆候を経験していました。しかし、英国のGPは、他のほぼすべての国のプライマリ・ケア医よりも高いレベルの精神的苦痛と大きな仕事量の増加を報告しており、多くの人が職業を離れることを検討しています。英国のGPの71%は、自分の仕事が「非常に」または「とても」ストレスフルであると感じており、これはドイツと並んで調査対象となった10カ国の中で最も高い数値です。英国のGPのストレスは、2019年から11ポイント上昇しています。

英国のGPは、医療行為に対する満足度が最も低く、「非常に」または「とても」満足しているGPはわずか24%でした。また、ワークライフバランス、仕事量、患者と接する時間についても、他の国のプライマリ・ケア医と比較して最も満足度が低くなっています。英国のGPは、パンデミック以前に比べて患者のケアに問題があると考え、提供できるケアの質が悪化したと考える人が半数、改善したと考える人はわずか14%でした。

一方で調査では、長期的な疾患や精神的なニーズを持つ患者ケアへの対応ができると感じているGPの割合は他国より高いなど、英国における一般診療の中核的な強みも明らかにされています。緩和ケア(96%)と認知症(95%)の管理に、他のほとんどの国よりも自信を持っています。サービスへのオンラインアクセス、電子カルテの使用、ケアに関する情報提供のためのデータ使用についても良好な結果を示しています。

10年前、英国のGPはどの国よりも満足度が高かったのです。満足度が低い背景として、GPの数を増やすという政府の度重なる公約にもかかわらず2015年以降、常勤換算のGPの数が減少していることが挙げられます。GPの不足数は4200人と推定され、2031年には8800人に増加する可能性があります。

健康財団の政策担当ディレクターであるHugh Alderwickさんは、「NHSだけが圧力下にあるわけではありませんが、英国のGPのエクスペリエンスの低さは政府にとって警鐘を鳴らすべきものです。パンデミックは、スタッフ不足や仕事量の増加といった長期的な課題と相まって、英国のGPに大きな打撃を与えました。今ではフランスと並んで最も満足度の低い国になっています。GPはストレスを感じ、燃え尽き、多くが退職を考えています」と指摘します。

GPの能力を高め、仕事量を減らし、より多くのケアスタッフを活用することを含め、労働環境を改善するための決定的な政策措置が必要だとしています。

詳細は下記リンクからご一読ください。完全なリポートはリクエストすることで読むことができます。

Link: https://www-health-org-uk.translate.goog/news-and-comment/news/uk-gps-suffering-unsustainable-workplace-pressures?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

2. ボランティア・ウィーク


米国では4月16〜22日まで、ヘルスケア関連のボランティア・ウィークを開催します。患者ケアに尽力し、患者やスタッフ、地域社会への思いやりを持つボランティアに敬意を表し、感謝する1週間です。

1974年に制定されたもので、ボランティアは救急部門、心臓治療エリア、新生児集中治療室、道案内エリア、理学療法部門、地域医療など、さまざまなエリアを支える活動で知られています。また、リスクマネジメント、ホスピスケア、交通機関、フードパントリー、貸出用クローゼット、ギフトショップなどでも活躍しています。

米国の医療機関では、ボランティア・ウィークの間、日頃の感謝を込めてボランティアに対してさまざまなイベントを企画します。ランチョンや朝食の提供、表彰、記念品を贈る、SNSでボランティアの活動をクローズアップして紹介するといったことが行われています。日本の医療機関でもボランティアが活躍しています。スタッフの一員としてボランティアを讃えることがPX向上にもつながると思います。

下記リンクに、イベントや贈り物のアイデアが載っていますので参考にしてください。

Link: https://www.theberylinstitute.org/page/VolunteerWeek

3. 今後の予定


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では第5期生のPXEの募集を開始しております。

2023年7月開講の全5回の養成講座では、PXの基本的な考え方からPXサーベイの実践、患者ジャーニーマップの作成、患者の思いを引き出すコミュニケーション法などを学ぶことができます。

患者視点の医療サービス提供を実現したい方であれば、医療者に限らず、どなたでも受験可能です。医療現場や職場でPXを向上させる旗振り役として、私たちと一緒に活動しませんか?

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編集部から


近所のお店のソムリエさんから大好物のジャガイモケーキで転職祝いをしてもらいました。エクスペリエンスが高い、そして美味しかったです。(F)