1.CXは王者
2.PXの再定義
3. 今後の予定
1.CXは王者
PX(Patient eXperience;患者経験価値)を考えるうえで参考になるのがCX(Customor eXperience;顧客経験価値)です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、顧客は王様である」「顧客は常に正しい」という古くからの考え方が復活し、しかもその傾向が強まっていてCXの重要性がより高くなっているーー。エクスペリエンス・マネジメントを専門とするSogolytics社CEOのHamid Farooquiさんによる米Forbs誌の投稿記事を紹介します。
⭐︎CXか破滅か
かつて、企業が測定する指標は売上だけでした。競争はそれほど激しくなく、選択肢も限られていたため、ロイヤリティも予測しやすかったのです。現在では、カスタマー・エクスペリエンス・ソフトウェア・ソリューションはより手頃な価格で提供されており、有意義な結果をすぐに意思決定の材料として活用し、エクスペリエンスを向上させることができます。
多くの企業は「何とかなる」という信念を持ち続け、当て推量やその場しのぎの「戦略」で顧客維持の問題を解決しているのが現状です。しかし、CXはもはや「あったらいいな」的なものではありません。簡単に言えば、CXを優先しない組織は失敗するのです。
⭐︎ヘルスケアのCX
一般的に、ヘルスケアのCXのトレンドは、金融サービスのそれと似ています。かかりつけ医がいる家庭で育った多くの人々は、現在、グループ診療所やクリニックを訪れ、個人的なつながりを利便性と引き換えに利用しています。患者の要求は高いです。予約はすぐに取れること、多くの書類に記入したり待合室に長く座っている必要はないこと、請求は簡単であること、そしてもちろん期待する医療の質も高いことです。
ネットで情報を得ることはできますが、検索が簡単であっても、訓練を受けた医療従事者の専門知識とは比べものになりません。この場合、PXこそが、彼らがその医療機関や医療施設に戻るかどうかを決定するのです。
⭐︎従業員を顧客と考える
最も重要な顧客であるEX(Employee eXperience;従業員経験価値)について考えてみましょう。
ここ数年の人事トレンドである「大量退職」「静かな退職」については、説明するまでもないでしょう。このシフトは現実のものです。新しいCXの便利さとパワーを享受した従業員は、仕事にも同じような柔軟性とメリットを求めているのです。
定期的な脈拍チェックから綿密な従業員エンゲージメント調査、360度レビューから社内ヘルプデスクへの問い合わせまで、従業員からのフィードバックがあります。EXを測定し、フィードバックから学び、忠誠心を高めるためにどのような改革を行っていますか。それは大変な作業に思えるかもしれませんが、それを行わない代わりに従業員の離職を招くことになります。
⭐︎CXは王者である
多くの企業が、CXプログラムはコストがかかりすぎるし、リソースも必要だと考えているようです。しかし、事実を見れば、反論の余地はありません。
・ CXはリテンション(顧客維持)の原動力
・CXはレピュテーション・マネジメントの原動力
・CXは収益拡大の原動力
・CXプログラムは、それだけで元が取れる
CXは、今日の市場における主要な差別化要因であり、これに追いつけなかった企業は、今後も追いつくのに苦労し続けるでしょう。
全文は下記リンクからお読みください。
2. PXの再定義
米のPX推進団体The Beryl Instituteの最新のホワイトペーパーの概要を紹介します。タイトルは「Reexamining Defining Patient experience(PXの定義の再検討)」。先週のメールマガジンで紹介したPXの定義ですが、COVID-19などを受けて再定義する必要性があるとしています。
The Beryl Instituteでは2014年に、PXの基礎的な定義を行い、主要な構成要素として「相互作用、組織文化、患者の認識と連続したケア」を挙げました。今回のホワイトペーパーでは、この定義が当初の枠組みからどのように進化したかを評価しています。
世界中でPXの定義が適応・採用されてきましたが、現在では、その範囲はこれらの中核的要素を超えて、人間としての私たちにとってはるかに大きな意味を持つものであることを理解しています。COVID-19による世界的なパンデミックで、エクスペリエンスには医療を受ける人だけでなく、医療に従事する従業員も含まれるという現実が明らかになりました。
さらに、このウイルスは社会的な現実をもたらしました。格差や制度的人種差別といった社会的現実を表面化させ、医療には地域社会のエクスペリエンスに対する説明責任があることを露呈させました。
ホワイトペーパーでは、世界的にPXに影響を及ぼしているさまざまな要素の拡大に対応するために、定義の中核となる構成要素を継続的に改善する必要があると主張しています。PXがヘルスケアの中心的かつ不可欠な要素であることに変わりはありませんが、医療のリーダーや組織に対して、「エクスペリエンス」の定義の進化を認識し、患者や医療従事者に対するより幅広いコミットメントを実現するための行動を呼びかけています。
エクスペリエンスとは、患者やその家族、介護者、医療従事者、そしてより広範なコミュニティに対するコミットメントであることを認識することです。
ホワイトペーパーは29.95ドルで購入可能です。
Link:https://www.theberylinstitute.org/store/viewproduct.aspx?id=18389793
3. 今後の予定
3月25日にPX研究会のオンライン勉強会、「第11回PX寺子屋」を開催します。病院に日本初のPX部門を開設した、やわたメディカルセンターのPXについての取り組みを紹介します。
3月25日(土)12:30-13:30
「PX概論」PX研究会 笹野 孝
「PXの取り組み」やわたメディカルセンター 安田 忍
参加費は会員は無料、非会員の方は1000円となります。下記リンクから申し込みください。
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第5期生のPXEの募集を開始しております。
2023年7月開講の全5回の養成講座では、PXの基本的な考え方からPXサーベイの実践、患者ジャーニーマップの作成、患者の思いを引き出すコミュニケーション法などを学ぶことができます。
患者視点の医療サービス提供を実現したい方であれば、医療者に限らず、どなたでも受験可能です。医療現場や職場でPXを向上させる旗振り役として、私たちと一緒に活動しませんか?
概要および申し込みは下記リンクからお願いします。
*PX研究会の運営サポートメンバーの募集は締め切らせていただきました。ご応募くださったみなさま、感謝申し上げます!
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
話題のメタバースSNS「Bondee(ボンディー)」を始めました。友人のリアルな過ごし方がアバターを通じてわかるのが面白いです!初めて自分のアバターを作成しました。(F)