1.コロナ禍でのカナダの病院のPX
2.クリーブランドクリニックの新たなPX指標
3. 今後の予定
1.コロナ禍でのカナダの病院のPX
CIHI(Canadian Institute for Health Information;カナダ保健情報研究所)では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が入院患者のPX(Patient eXperience;患者経験価値)にどのような影響を与えたかの調査を実施しています。「ほとんどの患者は入院中に前向きな経験をしている」といった報告を行っています。
調査は2020年4月から2021年3月にかけて、オンタリオ州、マニトバ州、アルバータ州の急性期病院で実施しました。
男性患者の67%、女性患者の63%が入院中、全体的にポジティブな経験をしたと報告しました。これは、パンデミック前とほぼ同じでした。COVID-19患者についても65%が入院経験をポジティブに捉えています。
「家族や友人が自分のケアや治療に関する決定に関与してほしい」と回答した患者は49%で、パンデミック前の69%から大幅に減少。COVID-19による病院への訪問制限が、家族や友人の関与に影響を与えた可能性を指摘しています。一方、「自分のケアと治療に関する決定に自分自身が関与したい」と答えた患者は55%です。「患者をケアに効果的に関与させることで、健康状態を改善し、コスト削減、PXを向上させることができます」としています。
「入院中の体験に関する患者のフィードバックは、ベストプラクティスや改善すべき領域を明らかにするために極めて重要」と指摘。「医療従事者は高水準の医療を維持しなければならない一方、多くの課題に直面しています。パンデミック時のPXを理解することは、患者の意思決定に反映させ、今後、患者を中心としたタイムリーなケアを提供するためにも重要です」と結論づけています。
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2. クリーブランドクリニックの新たなPX指標
米オハイオ州のクリーブランドクリニックは、積極的にPXを推進している病院として知られています。最近、従来のPX指標を追うことをやめたということを以前、当メールマガジンで紹介しましたが、新たな指標として「Plan of care visits」を作り、実施しています。米メディアプラットフォームのが発行する「Becker’s HOSPITAL REVIEW」の最新記事で、その概要が紹介されています。
2019年に始めた「Plan of care visits」は患者、看護師、医師といったチーム全員に、毎日、すべての患者のケアプランを明確に伝えるための指針です。看護師と医療者が一緒に、患者のベッドサイドに足を運び、患者から聴き取りをするものです。
「これは、想像しうる最高の方法で、当院でのビジネスのやり方を完全に破壊するものでした」とassociate chief experience officerで学術救急医のJudith Welshさんは語ります。「クリーブランドクリニックのキャンパスを歩いても、組織のどこにおいても、『Plan of care visits』が何であるかを知らない人を見つけることはできないでしょう。それが私たちの文化であり、私たちのやり方なのです」
「Plan of care visits」の目的は、患者のケアプランおよび退院までに達成すべきマイルストーンを全員が明確に理解できるようにすることです。従来の集学的な回診とは異なり、医師の目標や最新情報にのみ焦点を当てるわけではありません。
まず医療者が患者さんに対し、何が一番大切か、何が一番心配かを尋ねます。その後、医療者は看護師に最新情報や関心ごとを尋ね、医師は最後まで実施計画を持ち続ける、とJudithさんはそれぞれの役割を説明します。「医師は次に、患者の懸念や問題への対応と、私たちが『何を期待して待っているのか』『どんなコンフリクトがあるのか』『どんな薬に変えるのか』といった最新情報を共有します」最後のステップは「ティーチバック」で、医療提供者は患者にケアプランをどのように家族に説明するかを尋ねることで、ケアプランを適切に理解しているかどうかを確認します。
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3. 今後の予定
日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では、「第5回PXフォーラム」を12月10日(土)14:00〜17:00に開催します。テーマは、「各国の取り組みから学ぶ ~グローバルにおけるPX~」。フランス「French Patient Experience Institute」のCEOであるAmah Koueviさんによる特別講演をはじめ、PXEの第3期生が各医療機関での取り組みを紹介します。参加料は会員は無料、非会員は3000円です。
詳細および申し込みは下記リンクからお願いします!
Link:https://www.pxj.or.jp/pxforum2022/
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「患者・家族メンタル支援学会 第6回学術総会」が11月12日、東海大学医学部松前記念講堂(神奈川県伊勢原市)で開催されます。PXをテーマにしたシンポジウムでは、日本PX研究会のメンバー、関係者などが登壇します。登壇者およびテーマは次の通りです。
1.医療の質とペイシェント・エクスペリエンス
青木拓也(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター臨床疫学研究部)
2.日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の活動
曽我香織(日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会)
3.新型コロナ・パンデミックにおけるペイシェント・エクスペリエンス
小坂鎮太郎(練馬光が丘病院総合診療科)
4.ペイシェント・エクスペリエンスとコーチング
出江紳一(東北大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野)
当研究会理事で、学会長を務める東海大学医学部内科学系血液・腫瘍内科学教授の安藤潔さんによる教育講演「医療と対話」をはじめ、PXの学びにつながる内容となっています。
詳細は学術総会ホームページからご確認ください。
http://smspf.org/6th/index.html
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
通りがかりに夏目友人帳のニャンコ先生を発見。アニメは見たことがなく、三毛猫かわいい……と思っていたら実は妖怪だそうです。(F)