1.今年もPXフォーラム開催します!
2.今年最も価値のあったPX戦略
3. 今後の予定
※17日夕方にメールマガジンが誤送信されていました。お詫び申し上げます。
1.今年もPXフォーラム開催します!
日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会による年1回の一大イベント、「PXフォーラム」を今年も12月10日(土)14:00〜17:00に開催します。
PXフォーラムは、PX(patient eXperience;患者経験価値)の認知度向上のためのイベントとして、2018年から開催しています。第1回、第2回フォーラムでは、PX研究会が発足当初から取り組んできたPXサーベイの開発と実施事例を中心に、PXについて紹介しました。
第3回は、PXと関連が深いとされるEX(Employee eXperience;従業員経験価値)をトピックとして取り上げました。米国からCaring Accentの近本洋介さんがライブで参加し、米国におけるPXの機動力の変遷と最近のトレンド、特にEXが重視されるようになった背景について話してくださいました。第4回は「変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」をテーマに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の先進的な取り組み事例を紹介。コロナ禍でのPX対応について考える場としました。
5回目となる今回は、「各国の取り組みから学ぶ ~グローバルにおけるPX~」をテーマに設定しています。当メールマガジンではPXに関連する話題を紹介していますが、その多くが海外発信のものです。日本においてもPXの認知度や取り組みは個々の医療現場では進んでいますが、医療界全体にまでは至っていません。海外事情、事例を知ることで、日本でのPX導入・改善にもつながっていくものと考えています。
COVID-19の影響を考慮し、今年もオンライン開催とします。フランス「French Patient Experience Institute」のCEOであるAmah Koueviさんによる特別講演を行います。フランスの最新PX事情を紹介してもらいます。
日本での先進事例についても発表します。当研究会が認定するPXのエキスパート、PXE(Patient eXperience Expert)の第3期生が各医療機関での取り組みを紹介します。
参加料は会員は無料、非会員は3000円です。多くの方とPXについて語り合える場にしたいと思います。詳細および申し込みは下記リンクからお願いします!
Link:https://www.pxj.or.jp/pxforum2022/
2. 今年最も価値のあったPX戦略
2022年もあと3カ月あまりとなりました。COVID-19の流行の波が収まる気配がなく厳しい状況ですが、医療現場ではPX向上への取り組みが進められています。今年の総括には少し早いですが、米メディアプラットフォーム「Becker’s Hospital Review」の最新記事では、米国の5人のPXリーダーが「今年最も価値があったPX戦略」を語っています。
⭐︎Steve Basilotto( Froedtert Health(ウィスコンシン州)Chief Experience Officer )
Froedtert & the Medical College of Wisconsinのヘルスネットワークでは、最近「Every Moment Matters」というプログラムを立ち上げました。
介護士や医師が、個人または組織として、共通の価値観を持ち、それを支援し、結びつけることを目的としています。同プログラムは患者、訪問者、スタッフ、医師がFroedtert & the Medical College of Wisconsinヘルスネットワークとのかかわりにおいて何を重視し、何を期待しているかについて、長年にわたる独自の調査に基づいています。リーダー主導で行われ、組織内の重要な対話を促進します。四半期ごとに発行されるツールキットには、ビデオ、エンゲージメント活動、ベストプラクティス、表彰の機会など、さまざまなリソースが用意されており、リーダーは、勤務中やケア提供中に真実となる瞬間、何が重要かをチームに考えさせるために利用できます。
まだ使い始めて間もないですが、リーダーたちがこのコンテンツを手に取り、チームハドルや組織内の主要なプロセスに組み込んでいるのを目の当たりにしています。私たちは、自分たちが築き上げた基盤をもとに、このプログラムが企業価値と並ぶ、企業文化の中心的な存在に成長することを楽しみにしています。
⭐︎Taylor Hamilton(Ballad Health(テネシー州)Chief Consumer Officer)
昨年、私たちはCX(Consumer eXperience;消費者経験価値)を簡素化するアプリとウェブサイトの開発・立ち上げに力を注ぎました。予約、バーチャル訪問、請求書払い、医療機関へのメッセージ、記録へのアクセスなど、すべて携帯電話やパソコンから行えるようにしました。
しかし、このような技術の進歩が、個人的なつながりを犠牲にしてしまうようなことがあってはなりません。患者との基本的なやりとりを”指1本”でできるようにすることで、私たちはチームメンバーが最も重要なこと、つまり患者さんの話を聞き、健康について学び、患者さんの生活の一部になるために時間を割くことに集中できるよう、より多くの投資を行うことができるようになったのです。
⭐︎James Moses(BHSH Spectrum Health West Michigan(ミシガン州)Senior Vice President of Quality, Safety and Patient Experience )
私たちは、HCAHPSの投薬に関するコミュニケーション領域でパフォーマンスの上昇を確認しました。私たちは、EMR(内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術)に平易な言葉のリソースガイドを導入し、共感ベースの演習を用いた体験学習を通じて、患者が自分のケアに関する知識を得ることの重要性と価値を強化することができました。これらの実践により、63%の看護ユニットでスコアが向上し、看護師はこのアプローチについて積極的に語っています。「とても簡単だった。必要なものはすべてそこにある」「副作用を絞り込めるのがいい。だから患者は私が伝えることにもっと集中できる 」と、看護師たちはこのアプローチについて肯定的に語っています。
⭐︎Amy Searls(Prime Healthcare(カリフォルニア州)Chief Experience Officer )
昨年はスタッフやケアワーカー、そして重要なことですが、患者とその家族にとって非常にストレスの多い年であったことを強く認識しています。この業界が直面している燃え尽き症候群やケア疲れ、人材不足の問題を考慮すると、私たちが一番やりたくないことは、新しい取り組みを展開することです。当医療機関は、従業員のメンタルヘルスとウェルネス、そして思いやりのあるケアに焦点を当てました。私たちのスタッフは、患者とのつながりを深め、診断の先にある思いやりのある関係を生み出す一つのことを発見することに誇りを持っています。効果的なケアは健康を促進します。これは、レジリエントな労働力と、より健康的な地域社会を作るのに役立ちます。
⭐︎Judith Welsh(Cleveland Clinic(オハイオ州)Enterprise Associate Chief Experience Officer and Academic Emergency Physician )
ケア訪問の計画です。これは、医療従事者(医師、フェロー、高度医療従事者)、看護師、患者をベッドサイドに集め、毎日、すべての患者がケアプラン訪問を受けることを想定したものです。
患者は自分にとって最も重要なことを伝え、看護師はその声に耳を傾け、懸念事項や最新情報を伝え、医療従事者は全員が同じ見解を持つように最新情報を提供します。私たちは、昨年あたりから意図的にPXスコアを追いかけることをやめました。それは、最優先事項でなくなったからです。効果的なコミュニケーションに焦点を当て、正しいこと、つまりオープンなコミュニケーションラインをつくり、それを意図的に行うことで、患者さんと組織にとって最も重要な結果を得られると考えたのです。
3. 今後の予定
「患者・家族メンタル支援学会 第6回学術総会」が11月12日、東海大学医学部松前記念講堂(神奈川県伊勢原市)で開催されます。PXをテーマにしたシンポジウムでは、日本PX研究会のメンバー、関係者などが登壇します。登壇者およびテーマは次の通りです。
1.医療の質とペイシェント・エクスペリエンス
青木拓也(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター臨床疫学研究部)
2.日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の活動
曽我香織(日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会)
3.新型コロナ・パンデミックにおけるペイシェント・エクスペリエンス
小坂鎮太郎(練馬光が丘病院総合診療科)
4.ペイシェント・エクスペリエンスとコーチング
出江紳一(東北大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野)
当研究会理事で、学会長を務める東海大学医学部内科学系血液・腫瘍内科学教授の安藤潔さんによる教育講演「医療と対話」をはじめ、PXの学びにつながる内容となっています。
詳細は学術総会ホームページからご確認ください。
http://smspf.org/6th/index.html
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
先日の休みにジャン・プルーヴェ展に行ってきました。イスなどの家具が有名ですが、数日で簡単に設置や解体ができる組立式住宅でも知られています。戦時中や難民のための仮説住宅として使われていたとのこと。住み心地を配慮したサステナブルな建築物が日本でも取り入れられたらいいのにと考えさせられました。(F)