1.PX、EXを下げない6つの方法
2.RWJBHでの患者フィードバック
3. 今後の予定
1.PX、EXを下げない6つの方法
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、医療従事者は「通常より激しい怒りとさらなるフラストレーション」を抱える患者行動の矢面に立たされました。それが質の高いケアの提供に悪影響を与える可能性がある、とジョージタウン大学の経営学教授であるChristine Porathさんとオハイオ州にあるクリーブランドクリニックのCXO(Chief experience Officer)のAdrienne Boissyさんは指摘しています。ハーバードビジネスレビューに投稿されたレポートの概要を紹介します。
疲労を抱える患者の粗暴さにさらされることは医療チームに悪影響を及ぼしています。4500人を超える医師と看護師を対象としたある研究では「71%が混乱を起こさせる行動(見下したり、侮辱的、失礼な行動を含む)と医療過誤の間には関連性があり、27%は実際に患者の死につながるような行動に関係したことがある」としています。
ChristineさんとAdrienneさんは、患者と医療従事者の双方を守るため、無礼な行為と悪い行動を減らすには、次の6つの方法があるとしています。
1.安全なトレーニング方法
医療従事者はNAPPI( Non-Abusive Psychological and Physical Intervention;非虐待的心理的および身体的介入)などの定期的な安全トレーニングを実施するための対応を推奨。クリーブランドクリニックでは潜在的な暴力を緩和するために地元の警察と提携。院内には「暴力は許されない」ことを示す看板を掲げ、対応する委員会を設置。定期的なアラームテストの実施とともに、EHR(電子健康記録)でスタッフへの暴力を起こす可能性のある患者にフラグを立てている。
2.患者と医療提供者が「ナッジ」を活用
さまざまな状況で「ナッジ(行動科学の知見により、望ましい行動をとれるよう後押しする)」が役立つとしており、いくつかの病院や医療システムが安全プロトコールの一環として採用した。
3.コミュニケーションスキル・トレーニング
期待を高めるトレーニングは、医療提供者が不安定な状況下で何をする必要があるのか、敬意をもった対処法を知るのに役立つ。クリーブランドクリニックは2011年から、共感と人間関係に焦点を当てたコミュニケーションスキルのトレーニングを提供しており、「マスクをつけながら患者との話し合い方」といったガイダンスを行っている。
4.人々のありのままと向き合う
パンデミックは医学的だけでなく心理的トラウマ、身体的損傷、感情的被害を引き起こすことを認識する。組織はトラウマに基づいたケアを行うことを推奨。ピアサポートグループの設立など、あらゆる種類の非難に対処するためのポリシー、言葉遣い、トレーニングを開発する。
5.リカバリーのときをつくる
混乱を起こさせる行動への組織的な戦術は「非難の声を完全にとめる」ことではない。そのような行動に直面したときは、深呼吸をしたり、集中できる小さなルーティンをつくるなどして、ひと息つくようにする。
6.仲間を見つける
あらゆる仕事においてポジティブな関係性をつくることの重要性を強調。リーダーは医療従事者に対し、活力を与えること、精神を高める声掛けをする義務がある。それは患者のケアをするのと同じように、自分と他者の成功を高めることである。脳は他者のボディランゲージと感情に反応するようになっていて、幸福、平和、共感は伝染するものなので、1つのジェスチャーで自分自身やチーム、そして世界を変えることができる。
詳細は下記リンクをご一読ください。
Link:https://www.advisory.com/daily-briefing/2021/05/19/patient-disruption
2. RWJBHでの患者フィードバック
前号のメールマガジンでは、英国のNHS(National Health Service;国民保健サービス)での患者からのフィードバックについて紹介しました。米国ニュージャージー州最大の医療システムであるRWJBarnabas Health(RWJBH)では、患者からのフィードバックを患者の治療の一連の流れのなかで活用し、PX(Patient eXperience;患者経験価値)を高めています。
RWJBHでは、患者とその家族と常につながり、情報提供を行い、尊重するように努めています。患者のポジティブなPXが健康状態を改善することがわかっているからです。患者は病院を訪れた際に声をかけられ、調査を受けるかもしれないこと、そのフィードバックは評価されることがホームページ上に書かれています。
また、患者の声に耳を傾け、自分たちのパフォーマンスを分析し、定期的な改善を行っています。ベストプラクティスを適用し、優れた、思い出に残るPXを提供するための新しい方法を開発することで継続に成長し続ける努めているとしています。
調査はRWJBHのすべての場所で、医師、看護師、PX担当者、およびエグゼクティブリーダーが患者フロアを巡回し、患者と家族に滞在中のエクスペリエンスを非公式に質問します。このラウンドは、ベッドサイドでリアルタイムで問題に対処するのに役立つだけでなく、チームに対し、何がうまくいっているか、どのような改善の機会があるかについての展望を提供します。
2018年には、RWJBHのすべての医療機関でPFAC(Patient and Family Advisory Council)の設立をゴールとして位置付けました。患者と家族、スタッフの割合を3:1とするほか、非臨床スタッフを含めたさまざまな職種で構成するとしています。彼らはボランティアとしてPXをはじめ、医療機関のさまざまな委員会に所属し、運営にかかわっています。
ホームページから詳細およびPFACの回想レポートを読むことができます。
Link:https://www.rwjbh.org/why-rwjbarnabas-health-/patient-experience-journey/patient-feedback/
3. 今後の予定
PX研究会では医療機関や企業でPXを広めるエバンジェリストとして、PXE(Patient eXperience Expert)の認定を行っています。現在、2022年度の第4期生を募集中です。PXについて体系的に学べる内容となっており、多くの方のエントリーをお待ちしています。詳細と申し込みはリンクからお願いします。
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
先日初めて抗原検査キットを使用しました。鼻から検体を採取したら、漫画みたいなくしゃみが出て恥ずかしかったです。(F)