日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.184

1.PXの4つのトレンド
2.イベント「ELEVATE PX2022」開催
3. 今後の予定

1.PXの4つのトレンド


エクスペリエンス・マネジメントを行う、米ミズーリ州に本部があるSMG(Service Management Group)はこのほど、医療関係者の意見をもとにPX(Patient eXperience;患者経験価値)に関する4つのトレンドを挙げています。データは2021年1~2月にかけて、33カ国の医療機関の経営幹部、医療従事者を対象にアンケート形式で実施した結果をまとめたものです。

 

1.CAHPS以外の独自調査を選択

医療機関の70%がPXに関する調査を実施。68%が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックへの対応として、PX戦略が役に立ったと回答しました。

これまで米国の医療機関では、政府主導のPXサーベイ(CAHPS; Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)を実施し、PX向上に取り組んできましたがその傾向が大きく変わりました。国が定めたサーベイを実施している医療機関は2021年は46%と、2019年の68%から大幅に減少、多くの医療機関では独自のPX調査を導入しているとしています。その理由として、「タイムリーで実用的なフィードバックができる」と回答。国が定めたサーベイを実施する組織では、先の質問で「PX戦略が役立った」と回答したのは半分でした。

デジタル化したフィードバックチャネルを活用し、患者ごとのタッチポイントを測定、ペイシェントジャーニーに沿ってリアルタイムで対応していく最新のアプローチに移行することで、患者と医療従事者、両方のエクスペリエンスが大幅に改善するとしています。

 

2.PXとEXをリンクできていない

61%の医療従事者は、PXで最も重要なのは熱意あるスタッフだと指摘しています。そして約半数は、最も成功した取り組みとして組織内に正式なPXリーダーを配置したことを挙げています。ただし、このような取り組みをEX(Employee eXperience;従業員経験価値)とうまく結びつけている組織はほとんどありません。

医療従事者の燃え尽き症候群とストレスがPX向上の取り組みの障壁となっているという認識は、2019年の調査から5%増えています。EX改善の一貫した戦略を持たない組織は、スタッフのエンゲージメント低下と人材流出、PS(Patient Satisfaction;患者満足度)と患者ロイヤルティの低下を招く恐れがあります。

医療従事者と患者との間のギャップを埋め、PXと並行してEXを優先させる必要があります。

 

3.PXが組織文化をつくる

ヘルスケアを含めたすべての業界でDE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)への取り組みが優先されています。19%の医療機関がPXを活用して健康の公平性や格差問題に取り組み、4分の1がPXプログラムに組み込んでいます。PXではスタッフのエンゲージメントは最も重要ですが、地域のなかで組織が強力かつ包括的な文化をいかにつくり出すかに、スタッフはより注目しています。

 

4.DXはスタッフの教育と開発がカギ

患者のニーズは進化しており、それに応えるために医療機関の70%はデジタル戦略(DX)にPXを取り入れています。これによってテクノロジーへの投資が増える一方、人への投資を減らしてしまう危険性があります。テクノロジーが複雑化するなか、スタッフのトレーニングや開発を優先することは、燃え尽き症候群や離職の防止につながります。

 

全文は下記リンクからダウンロードできます(メールアドレスなどの登録が必要)。

Link:https://www.smg.com/blog/blog-detail/smg-blog/2021/10/22/patient-experience-trends-shaping-a-human-centric-approach-to-healthcare

 

 

 

2. イベント「ELEVATE PX2022」開催


アメリカのPX推進団体であるThe Beryl Instituteが主催するPXを学べるイベント「ELEVATE PX2022」が3月28~30日、米インディアナ州のJWマリオットホテルで開催されます。オンラインでも参加でき、今月末まで早期申し込みの割引が適用されます。

 

「ELEVATE PX2022」は世界でPX向上に取り組むヘルスケアに携わる人たちによる講演やセッションを通して、PXに関するさまざまな先進的な取り組みを知ることができるイベントです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、ここ2年はバーチャル(オンライン)開催でしたが、次回はオフラインでの開催も予定されています。開催要件としてCOVID-19ワクチン接種が強く推奨されているほか、対面による会議スペースは最初は定員の50%以下でのエントリー受付となり、COVID-19の感染状況に応じて定員を増やすことも検討されます。すべてのセッションはオンラインで視聴できます。

 

▽エグゼクティブリーダーシップ、▽医師や看護師のリーダーシップ、▽PXとPS(Patient Satisfaction;患者満足度)、▽サービスの卓越性、▽患者と家族のアドボカシー、▽マーケティング/コミュニティへの働きかけ、▽医療の質/安全なオペレーション、▽人事/組織開発、▽臨床教育/スタッフ育成、▽患者と家族のアドバイザー、といった分野について学べるセッションが3日間にわたり繰り広げられます。

今年の主なトピックとしては、▽反人種差別への取り組み、▽患者のメンタルヘルスサポート、▽病院のCOVID-19への適応策、▽コミュニケーションスキルのトレーニング、▽公平性、多様性を実現するためのバーチャルコミュニティの再考、▽テクノロジーの活用によるPXカルチャーの定着、▽患者のクレーム管理、▽ヘルスケアシステム全体のリーダーシップ、▽PXとEX(Employee eXperience;従業員経験価値)のナビゲーションーーなどとなっています。

 

参加登録もすでに開始しており、今月末までの申し込みではオフラインは1050ドル。オンラインの場合は475ドルとなっています。イベントのスケジュールおよび参加申し込みは下記リンクから可能です。

Link:https://web.cvent.com/event/bc16b2ff-05b0-4480-8fe3-51a959233fb1/summary

 

 

3. 今後の予定


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では、2022年もオンライン勉強会「PX寺子屋」を開催します。3月5日(土)、7月23日(土)、11月26日(土)の3回、いずれも12:30-13:30を予定しています。内容などは決まり次第、メールマガジンやホームページでお知らせします。

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PX研究会では医療機関や企業でPXを広めるエバンジェリストとして、PXE(Patient eXperience Expert)の認定を行なっています。現在、2022年度の第4期生の募集を開始しています。PXについて体系的に学べる絶好の機会です、多くの方のエントリーをお待ちしています。詳細と申し込みはリンクからお願いします。

https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


第6波が押し寄せる波打ち際で、中学高校の同級生と新年会をしました。お店オリジナルと思われる焼酎のラベルがエモい。余談ですが「エモい」は、「あはれ」の子孫だそうです。(F)