1.PXプログラムの作り方
2.PXEの第3期受講生を募集中!
3. 今後の予定
1.PXプログラムの作り方
医療機関が自分たちのPX(Patient eXperience;患者経験価値)を測り、結果をもとにどう改善につなげていくか。そのためのPXプログラムの開発方法を、米オハイオ州にあるクリーブランドクリニックのCXO(Chief experience Officer)のAdrienne Boissyさんと、米国医師会のシニアPD(Practice Development)スペシャリストのStacy Lloydさんが公開しています。「PXプログラムの構築はPS(Patient Satisfaction;患者満足度)を高めるために重要なだけではなく、医療者にとってやりがいにもなる」としています。概要を紹介します。
PXプログラムを作成するためには6つのステップがあります。
1.PSの現状を評価する
タイムリーかつ費用対効果が高い方法で患者からのフィードバックを集めるいくつかの方法があります。1つはPSを測る調査(PXサーベイなど)であり、長期にわたって継続して評価できます。また、診療で患者に対し、「今日の受診はどうでしたか?」と気軽に聞くことで、患者のPXを知ることができます。院内ではスタッフの誰もが「私たちにフィードバックしたいことはありますか?」と患者にたずねることができます。これらの取り組みは現状を確認し、PXプログラムの指針づくりに役立ちます。
2.“北極星”(めざすべき道)を定義する
北極星を定義するときは、チームのメンバー、患者、ケアスタッフなどのさまざまな視点をもとに、話し合うようにしてください。北極星は共通の目標となって診療を統合し、PXプログラムの開発をサポートします。組織の使命、ビジョンなどによって定義されるかもしれません。
たとえばクリーブランドクリニックの北極星は「Patient First」、フロリダ州のバプテストヘルスケアは「Healthcare that Cares」の言葉と、すべての患者が望む温かい、ホスピタリティの象徴であるパイナップルのロゴです。
3.ステークホルダーをエクスペリエンスデザインに関与させる
組織文化は持続可能なPXプログラムを作成するうえで重要です。文化には、チームワーク、調整、良好なコミュニケーション、継続的な学習支援の環境などが含まれます。臨床チーム、管理部門、医師、そして一番重要である患者が参加し、PXの現状についての評価を共有、結果の受け止め方と傾向について話し合います。ブレーンストーミングセッションを開き、PXプラットフォームのアイデアを出し合います。さらに日常業務のなかで直面する課題についてスタッフに聞くことで、新たなトレーニングが役立つ領域を特定します。
4.PXの戦略を開発、実装する
ステップA:患者と家族の諮問組織をつくることを検討します。医療機関と患者とのパートナーシップの強化により、目標達成と患者へのよりよいケアの提供につながります。
ステップB:リーダーシップの定期的な“ラウンディング”を行うことです。医療機関を飛び出し、患者や家族、ケアスタッフとPXについて直接話します。
ステップC:スタッフのエンゲージメントの改善を優先させます。スタッフが職場環境をどう思っているのかを理解するため、エンゲージメント調査の実施を検討します。
ステップD:すべてのレベルのスタッフに、優れたサービストレーニングを実施します。
ステップE:効果的かつ共感できるコミュニケーション方法を教えます。
5.フィードバックを分析し、その影響を測定する
多くのPSを測る調査では、ベンチマークができる指標をつかっています。ただ、患者のコメントなど定量化できない、定性的なものにも同様に価値があります。患者の苦情を追跡し、コメントを調査したり、リーダーシップのラウンディングを経て、患者の視点から新しいコミュニケーション戦略の影響を評価することができます。
6.成果を認識したうえで時間をかけて改善する
PXプログラムの構築は困難なプロセスとなる可能性があります。そのプログラムに価値があると感じたならば、引き続きエンゲージメントを維持し続けます。プログラムを改善または強化する方法について、スタッフにフィードバックや提案を求めてください。この取り組みにおいて力を発揮しているメンバーを讃えましょう。ポジティブな患者の物語りを共有し、患者に話をしてもらい、北極星に向かってどう足を進めているかの気づきを与えます。
患者とその愛する人の声は、診療が効果的であることと患者のジャーニー(診療のプロセス)のどこに改善のチャンスがあるかといった貴重な情報を提供します。この情報を活用することで、臨床のケアを変え、患者のロイヤルティを高め、患者と医療者により多くの意義と喜びをもたらすサービスを設計できます。
このプログラムづくりを最後まで行えば、次の3つのことができるようになるとしています。
1.PXプログラムが患者と診療にどう役立つかを説明する
2.診療のなかでPXプログラムをつくるステップがわかる
3.PXプログラムをどうやって開発、実行するかを描ける
「どのような要因がPXに影響を与えますか?」「なぜPXプログラムを開発する必要があるのですか?」など、PXプログラムの開発過程でのシンプルな疑問が、Q&Aとして紹介されており、実践にもつながりやすい内容となっています。
Link:https://edhub.ama-assn.org/steps-forward/module/2702560
2. PXEの第3期受講生を募集中!
日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会が、医療機関や企業でPX向上の担い手となる人材育成を始めて3年目となります。認定資格であるPXE(Patient eXperience Expert)を取得するための養成講座を7月から開講します。
PXEになると、「患者中心の医療って何?」「どうすれば患者に選ばれる医療機関になる?」「患者思いの医療者を増やすにはどうすればいい?」といった疑問や課題を解決できる知識と手段を身につけることができます。
PXE取得のメリットとして、「患者視点で客観的に所属組織を見つめ直すことができる」「PXや患者満足度を向上させるための課題と対応策を見出せる」「同じ課題意識を持った仲間とネットワークができ、お互いの事例から学び合える」があります。
PXEになるには、PX研究会の会員となっていただき、養成講座の全課程を修了したうえで、認定試験に合格することが条件となります。養成講座は全5回、PXを体系的に学べるほかPX向上施策を考えたり、患者視点のコミュニケーション法を知ることができます。
申し込みは下記リンクからできます。PXについての知識を深めたい方、ぜひエントリーください。
Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/
3. 今後の予定
2021年も引き続き、PXを学べるオンライン勉強会「PX寺子屋」を開催します。5月15日、8月21日、11月13日の開催を予定。次回はPXE(Patient eXperience Expert)1期生が、自院での取り組みを紹介します!
第4回PX寺子屋
・日時:2021年5月15日(土)13:00-14:00
・テーマ:「PX概論」
「放射線治療科におけるPXサーベイの試み」 社会福祉法人 函館厚生院 函館五稜郭病院 放射線科 小林聖子
「PXアンケートの活用 ~PFMの発展を目指して~(仮)」函館五稜郭病院 企画情報システム課企画係 久米田聖人
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PX研究会では12月4日(土)に「第4回PXフォーラム 変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」をオンラインで開催します。PX研究会会員(法人・個人)は無料。会員外の方は第1・2部で3000円となります。第1部、第2部のみ(各1500円)参加も可能です。フォーラムの詳細と申し込みは下記リンクからお願いします。
https://www.pxj.or.jp/pxforum2021/
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
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