1.Listen,Learn,Share
2.Patient Stories by NHS
3. 今後の予定
1.Listen,Learn,Share
先週のメールマガジンでは、英国のNHS（National Health Service;国民保健サービス）が患者からのフィードバックを医療の改善にどうつなげているかという調査レポートを紹介しました。NHSはフィードバックの収集に多大なエネルギーと費用をかけていますが、実際にどのようなことが行われているのでしょうか。
NHSにはPALS（The Patient Advice and Liaison Service）という患者のサポートサービスがあります。PALSは各地域にオフィスがあり、患者は最寄りのPALSに直接アクセスできます。NHSの医療サービスに関するあらゆる疑問や質問、苦情などを受け、その解決を手助けし、NHS自体の組織改善を行なっています。
苦情を改善につなげた事例が、NHSが発行する「Liste,Learn,Share」というニュースレターで紹介されています。このニュースレターは、患者からのフィードバックを受けてNHSが何をしているのかを医療者や一般の人たちに伝えるツールです。最新号で紹介されている事例を少し共有したいと思います。
PALSでは苦情を受けると、その内容についてトリアージ、評価、承認、専門分野の適切なスタッフを割り当てます。2020年７〜９月の間にPALSには164の声が寄せられました。
そのうちの１つに機能性神経症状症（FND）と診断され、そのままリハビリ施設に移った患者の話があります。グルテンと乳製品に不耐性だったため、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の検査結果を待つ入院までの２日間の待機期間に十分な食事が提供されなかったと感じたとのことでした。
他の患者が同じような経験をしないように、NHSでは入院時の書類に特別な食事療法が必要かどうかを問う質問を追加しました。さらに、病棟とケータリングチームとのコミュニケーションを強化することで、特定の患者ニーズがタイムリーに伝わるようにしました。患者のプライバシーを確保したレビューが行われ、解決するための作業が進行中だといいます。
そのほか「Liste,Learn,Share」では、ボランティアの取り組みやCOVID-19入院患者と家族との新たなコニュニケーションサービス、認知症やせん妄症状の患者在宅サポートなどについて紹介しています。
NHSの患者サポートについて詳しく知りたい方は、下記リンクからお読みください。
2. Patient Stories by NHS
以前、当メルマガでは米国オハイオ州のクリーブランドクリニックの患者ストーリーを掲載をしていました。日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の勉強会では、PX（Patient eXperience;患者経験価値）を知っていただくために、同クリニックの動画を紹介しています。
PXは患者中心の医療を評価する指標ですが、その実践においては、患者の語りを聞くことが重要だとされています。
NHSでは患者ストーリーの動画を定期的にホームページで公開しています。仕事中に脳卒中で倒れて搬送されたGary Woodさんは動画のなかで、「スタッフが常に穏やかな声で自分の名前を呼び、語りかけてくれました。それだけで不安や恐れがなくなりました」などと話しています。患者のエクスペリエンスを高めるために医療者が何をすればいいのか、実践につながる内容となっています。2人の患者の語りに耳を傾けてみてください（英語のみです）。
Link：https://www.royalwolverhampton.nhs.uk/patients-and-visitors/patient-experience-team/patient-stories/
3. 今後の予定
2021年も引き続き、PXを学べるオンライン勉強会「PX寺子屋」を開催します。今後5月15日、8月21日、11月13日の開催を予定しています。
第4回PX寺子屋
・日時：2021年5月15日（土）13：00-14：00
・テーマ：「PX概論」
※詳細は決まり次第、ホームページ、当メールマガジンに掲載します
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
仕事が終わるのが遅いので夜に食事に行くこともできず、いかにランチで食のエクスペリエンスを高めるかに情熱をかけています（笑）。最近食べた海鮮づけ丼は、生魚と丼ものがあまり得意ではない私でもうなるほどの美味でした。（F）
