日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン／Vol.135 - 一般社団法人日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会

1.PX Book Club
2.コーチングを医療に活かす
3. 今後の予定

1.PX Book Club

コロナ禍により外出や人と会うことが難しく、研修会やライブ、飲み会に至るまでオンラインで開催されることが多くなりました。先日の第３回PXフォーラムもオンライン開催でしたが、物理的距離をカバーできるメリットの大きさを改めて感じました。時差はあるものの、日本にいながらアメリカのイベントに参加することもできます。今回は、アメリカのPX推進団体であるThe Beryl Instituteが主催する「PX Book Club」を紹介します。

アメリカではBook Club（読書クラブ）という、本の感想などを語り合うサークルが多く存在します。日本の読み聞かせ読書会とは異なり、ディスカッションのなかで他者の考えを聞きながら自分の意見をより深めていくことができます。「PX Book Club」はヘルスケア関連の1冊の本を何人かで読むことにより、参加者の多様な視点によるオープンな議論を展開することを目的としています。読む本はPX（Patient eXperience;患者経験価値）に関連したタイムリーなもので、メンバーの関心と意見に基づいて選択されています。

PX Book Clubは、オンラインディスカッションの前にテーマ本を読んだうえで参加します。どの本を読む際にも、考えるべき問いとして下記の5つが挙げられています。

1.本を読む前にどのようなものだと思いましたか？期待した内容でしたか？

2.本のなかにあなたの考え方を変えたものはありましたか？

3.本のなかに私生活でこれまでと違う行動をとった動機となったものはありましたか？

4.この本はPXに関する取り組みをするうえで心に響きましたか？この本から学んだことは今後の取り組みに影響しますか？

5.著者に質問を1つするとすれば、どんなことでしょうか？

次回の「PX Book Club」は2021年2月24日17:00～18:30（米国東部時間）からになります。テーマ本は『THE SPIRIT CATCHES YOU AND YOU FALL DOWN』(Anne Fadiman著）。米カリフォルニア州でベトナム・モン族の移民家族の子どもがてんかんを発症した際、医師とのやりとりのなかで生じた問題を取り上げています。言語以上に、文化の異なる医療者と患者との関係性を築くことの難しさを問う内容です。

PX Book Clubに参加するにはメンバー登録が必要となります。日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会でも Book Clubを開催してみたいと思いました。PXに関連するおすすめ本があれば研究会事務局までお知らせください！

Link:https://www.theberylinstitute.org/page/PXBookClub

2. コーチングを医療に活かす

PXを高めるためにはPXサーベイを実施し、その結果から改善活動を行うと同時に、患者の声に耳を傾けて個別ニーズを引き出すことが重要です。対話的コミュニケーションの方法としてコーチングがあり、医療分野でもさまざまな実践が行われています。PX研究会のPXE養成講座でも、対患者のコミュニケーションスキルとしてコーチングを学ぶ1コマを設けています。

コーチングによるコミュニケーションには、①自由に話をする、②新しい視点に気づく、③新たに行動を開始し継続する――という3つの機能があるといいます。医療はさまざまな専門職が集まった集団による共同作業で、当事者である患者、その家族も加わります。このような組織には、マネジメントによりつくられた仕組みを活性化させるためのコミュニケーションが欠かせません。

当研究会理事の出江紳一さん、安藤潔さんがかかわるメディカルコーチング研修会では2021年2月6～7日に「医療に活かすコーチング研修会～コーチング実技マスターを中心に～」を開催します（2日間とも9:30～17:30）。職種を問わず、医療組織における人材育成やチームワークに関心のある方が対象。WEｂ会議システム（Zoom）によるオンラインで行われます。下記リンクから申し込みできます。

Link:http://coach-reha.umin.jp/